
「温泉に入ると腰痛が楽になる」と感じた経験がある方は多いのではないでしょうか。一方で、「それは一時的なものなのか」「本当に改善しているのか」と疑問に思う方も少なくないと思います。腰痛は様々な要因が重なり合って起こる場合がほとんど。そのため、温泉が有効なケースとそうでないケースを見極めることが大切です。今回は、温泉と腰痛の関係や効果、注意点などについて詳しく解説します。
<コラム監修者>

田中聡(たなか さとし)
表参道総合医療クリニック院長
大阪医科大学医学部卒業。救急車搬送が日本で一番多い「湘南鎌倉総合病院」や「NTT東日本関東病院」にて脳神経外科医として脊椎・脊髄疾患、脳疾患、がん患者の治療に従事。その後、稲波脊椎関節病院で脊椎内視鏡、森山記念病院で脳・下垂体の内視鏡の経験。様々な患者様を診療するようになりました。しかし、脳出血や脳梗塞の方は、手術をしても脳機能自体は回復しないため、麻痺は改善しません。また腰痛が改善しなかったり、手術後も痛みやしびれが残る後遺症に悩まされている患者様を見てきて、「現代の医療では解決できない問題を治療したい」と表参道総合医療クリニックを開院しました。開院後、多数の腰痛日帰り手術や、再生医療などを行い、多方面から高い評価をいただいています。
┃1.温泉で腰痛は楽になる?効果と注意点
温泉は身体を温める効果があるので、血流を改善したり、筋肉の強張りを緩和する作用があります。そのため、腰への負担から疲れが蓄積し、血流が悪くなったり、筋肉が強張ることで起こるような慢性的な腰痛には効果的です。
入浴時には、体を温めつつも負担をかけすぎないのがベター。38〜40℃程度のぬるめのお湯に10〜15分程度浸かるのを目安に、無理ない程度で楽しみましょう。また、入浴後は急に動かず、体が温まった状態で軽くストレッチを行うと効果的です。
なお、「ぎっくり腰」のような急性の腰痛では、患部に炎症が起きて痛みが出ているので、温めると悪化してしまう可能性があります。このほか椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症のように、神経が圧迫されていることで起きている腰痛は、一時的に症状が軽くなることはあっても、原因そのものが改善されているわけではありません。「楽になったから大丈夫」と自己判断してしまうと、症状が進行してしまう可能性もあります。
下記に慢性的な腰痛への効果をまとめました。
<温熱効果による筋肉の緩和>
温泉に入ることで体が温まり、筋肉の緊張がやわらぎます。特に、長時間のデスクワークや立ち仕事によって硬くなった腰回りの筋肉に効果的です。
<血流改善による痛み軽減>
温熱作用により血管が拡張し、血流が促進されます。すると筋肉にたまった老廃物や疲労物質が排出されやすい状態になり、だるさや重さが軽減することがあります。また血流改善は組織の回復のサポート機能にも大きく関わるため、慢性的な筋肉疲労にも一定の効果が期待できます。
┃2.腰痛の原因から考える温泉効果
腰痛は原因によって性質が異なるため、温泉の効果の出方にも差が出てきます。まずは自分自身の腰痛はなぜ起きているのか、根本的な原因を考えることが大切です。
ここでは腰痛の原因別に温泉効果の出方などをまとめました。
<筋肉の疲労>
【温泉効果◎】
運動不足や長時間同じ姿勢を続けることで起こる筋肉性の腰痛は、温泉と比較的相性がいいとされています。入浴後は、筋肉の緊張がほぐれることで可動域が広がり、動作時の痛みが軽減しますが、入浴後にすぐ無理な動きをすると再び負担がかかるため注意が必要です。
<姿勢などの生活習慣>
【温泉効果〇】
猫背や反り腰、長時間の座り姿勢など、日常の姿勢の癖によって腰に負担がかかっている場合、温泉はあくまで対症的なケアに過ぎません。入浴後、楽になったとしても、普段の姿勢や生活習慣を見直さなければ、再発を繰り返す可能性は十分考えられます。
デスクワークの人は意識して骨盤を立てるように座ったり、長時間同じ姿勢を避けるようにするなど、日常から腰に負担のかからない姿勢を心がけましょう。このほか体幹を支える軽い運動を取り入れるのも効果的です。
<椎間板ヘルニアなど腰椎疾患>
【温泉効果△】
足のしびれや腰から足にかけて広がる痛み「放散痛」を伴う場合は、椎間板ヘルニアなど神経圧迫による腰痛である可能性が疑われます。このようなケースでは、温めることで一時的に筋肉の緊張は和らいでも、神経への圧迫自体は改善しません。痛みの一時的な緩和ケアとしてはいいですが、疾患は進行していくので、早めの受診をおすすめします。
┃3.温泉で改善しない腰痛はすぐに受診を
腰痛は、筋肉の疲労だけでなく、椎間板や神経、さらには内臓の影響など、さまざまな要因が関係して起こります。そのため、「楽になったから大丈夫」と自己判断してしまうのは、注意が必要です。温泉で腰痛が一時的に楽になったとしても、症状を繰り返したり、長引いている場合は、クリニックに相談することをお勧めします。
>>【放置は危険!】病院に行った方がいい腰痛は?セルフチェックで腰痛原因を探る
┃4.当院の日帰り腰痛治療
腰痛は様子を見ても大丈夫な場合もありますが、以下に当てはまる場合は我慢せず、医療機関を受診しましょう。特に神経症状がある場合は、早期の対応が症状の進行を防ぐためにも重要です。
- 痛みが2〜4週間以上続く
- 徐々に悪化している
- 足のしびれや違和感がある
- 日常生活に支障が出ている
- 原因がはっきりしない
┃5.当院で行っている治療
当院は腰痛を中心に治療を行っているクリニックです。もしも気になることがありましたらお気軽にご相談ください。また、もしも椎間板や脊椎に問題があった場合、早めの治療が大切です。当院では日帰り手術と再生医療を組み合わせた治療をご提供しております。
<PDR>
PDRは経皮的椎間板再生治療ともいいます。患者さんの血液を採取し、濃縮血小板由来の成長因子(PRP)を抽出。PRPと幹細胞上清液を患部に注入し、透視装置を使って損傷した椎間板に成長因子と幹細胞上清液を投与します。PLDDと併用することも可能で、日帰りで手術を受けることができます。
対象疾患:椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など
<PLDD>
PLDDは、レーザーを椎間板の髄核に照射して椎間板を縮小し、神経の圧迫を軽減する治療です。施術に要する時間は1か所あたり15~30分程度で、院内の滞在時間も数時間程度で済むため、日帰りでの手術が可能です。
対象疾患:椎間板ヘルニア
<PED>
細い内視鏡を用いて、神経を圧迫している椎間板ヘルニアを直接摘出細い内視鏡を用いて椎間板ヘルニアを摘出する治療です。切開は約7mmと小さく、患部を確認しながら処置を行うため、身体への負担を抑えられる点が特徴です。レーザー治療では対応が難しい症例にも対応可能で、手術時間はおよそ1〜2時間程度。日帰りでの手術が可能です。
対象疾患:椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など
<PEL>
PELは全ての手術操作を内視鏡下で行う手術です。体を大きく傷つけずに脊椎内部の奥深いところを観察し、神経の圧迫を取り除きます。局所麻酔で行えるため、高齢の方や持病のある方など全身麻酔下の手術が受けられない方にとってもメリットの大きい手術です。日帰りでの対応が可能で、早期の社会復帰を目指す方にも適しています。
対象疾患:脊柱管狭窄症、すべり症など
<ディスクフロー治療>
傷を塞ぐ接着剤のような役割を持つ「フィブリン」という物質を患者さんの血液から生成し、椎間板の亀裂を封鎖する治療です。ご自身の血液からつくる自己フィブリンなので、アレルギーや拒絶反応、感染などのリスクを抑えられるのも特徴です。
対象疾患:椎間板ヘルニアなど
<SAST>
患者さん自身の脂肪から幹細胞を取り出して培養し、椎間板、頚椎、腰椎などに移植する治療法です。幹細胞には傷ついた組織を再生する働きがあり、損傷した椎間板や脊椎の修復を促して腰痛の改善を目指します。また、ご自身の脂肪から採取した幹細胞を使用するため、体へのなじみがよく、副作用のリスクを抑えやすい点も特徴です。
対象疾患:椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、椎間板変性症、すべり症など
┃6.まとめ
温泉は痛みを一時的に緩和するには効果的なケースがほとんど。ただし、根本原因が背骨や神経などにある場合は注意が必要です。そういっても、温泉は気分転換をしたり、リラックスしたりするのに持ってこいな方法の1つ。腰痛はストレスが原因となっていることもあるので、温泉に頼りすぎるのではなく、楽しみながら緩和させるという認識で利用するのはいいかもしれません。
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