2025.11.09

日帰り手術で治療する「腰痛」対象疾患から手術方法まで

腰痛を引き起こす疾患は様々。急に負荷がかかったことで筋肉や靭帯の炎症が起こり一時的な痛みが起こるなど軽症なものから、腰部分の背骨に異常があったり、神経損傷が関わったりしていて手術が必要なほどに重症なものまで、原因は多岐に及びます。手術が必要な場合、入院やリハビリが煩わしく、本格的な治療に対して、腰が重くなってしまうという患者さんも少なくありません。今回は、日帰りでできる腰痛手術についてご紹介します。

＜コラム監修者＞

田中聡院長

田中聡(たなかさとし)

表参道総合医療クリニック院長

大阪医科大学医学部卒業。救急車搬送が日本で一番多い「湘南鎌倉総合病院」や「NTT東日本関東病院」にて脳神経外科医として脊椎・脊髄疾患、脳疾患、がん患者の治療に従事。その後、稲波脊椎関節病院で脊椎内視鏡、森山記念病院で脳・下垂体の内視鏡の経験。様々な患者様を診療するようになりました。しかし、脳出血や脳梗塞の方は、手術をしても脳機能自体は回復しないため、麻痺は改善しません。また腰痛が改善しなかったり、手術後も痛みやしびれが残る後遺症に悩まされている患者様を見てきて、「現代の医療では解決できない問題を治療したい」と表参道総合医療クリニックを開院しました。開院後、多数の腰痛日帰り手術や、再生医療などを行い、多方面から高い評価をいただいています。

◆目次
1.日帰り手術って何？
2.対象となる腰痛疾患について
 3.当院が行っている日帰り腰痛手術について
 4.まとめ

┃1.日帰り手術って何？

手術というと「入院しなければいけない」というイメージが強いと思います。しかし、近年は身体への負担が少なく済む治療方法も確立されてきており、手術するときに必ずしも入院しなければいけないわけではありません。

腰痛の治療も、同様に様々な治療方法が開発されています。従来は器具などを使って固定したり、大きく切開する必要があったりするため、入院する必要がありましたが、現在は日帰り手術も充実してきました。

＜日帰り手術のメリット＞

【医療費の軽減】
入院費用がかからないため、その分の経済負担が軽減されます。

【早期の社会復帰】
身体への負荷が少ないので、比較的早く日常生活に復帰することができます。

【スケジュール調整】
まとめた日程を空けなければいけないなどがないので、仕事などの調整もしやすいです。

┃2.対象となる腰痛疾患について

ここでは日帰り手術の対象になる主な腰痛疾患をまとめました。

＜椎間板ヘルニア＞

椎間板ヘルニアは、背骨の骨を連結させている「椎間板」の髄核が飛び出して、脊柱管の神経を圧迫してしまうことで起こる病気。椎間板は「髄核」という柔らかい組織と、それを覆う線維輪と呼ばれる硬い組織で構成されています。重い荷物を持つなどして、ここに大きな負担がかかると線維輪が壊れてしまい、そこから柔らかい髄核が突出。それが神経に当たることで症状が現れます。

＞＞椎間板ヘルニアについて

＜腰部脊柱管狭窄症＞

脊柱管とは背骨を構成する骨である「椎骨」とそれを繋ぐ椎間板や靭帯に囲まれてできたトンネル状の管のことです。その中には脳から続く脊髄神経が通っています。脊柱管狭窄症は名前の通り、脊柱管が狭まってしまった状態のこと。椎間板がヘルニアになったり椎骨が変形したりして脊髄神経が圧迫されると、痺れや痛みなどの運動障害が起こることもあります。

＞＞脊柱管狭窄症について