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2025.06.28

知っておきたい坐骨神経痛を引き起こすリスク要因と治療方法

腰から下肢にかけての痛みを伴う坐骨神経痛。その要因は、椎間板の異常や筋肉の緊張などさまざまです。身体の冷えや何気ない姿勢など、日常的な癖や習慣が原因で悪化しているかもしれません。この記事では、坐骨神経痛のリスク要因やセルフケア方法、なかなか症状がよくならない場合の対処法を解説します。

<コラム監修者>

田中聡院長

田中聡(たなか さとし)

表参道総合医療クリニック院長


大阪医科大学医学部卒業。救急車搬送が日本で一番多い「湘南鎌倉総合病院」や「NTT東日本関東病院」にて脳神経外科医として脊椎・脊髄疾患、脳疾患、がん患者の治療に従事。その後、稲波脊椎関節病院で脊椎内視鏡、森山記念病院で脳・下垂体の内視鏡の経験。様々な患者様を診療するようになりました。しかし、脳出血や脳梗塞の方は、手術をしても脳機能自体は回復しないため、麻痺は改善しません。また腰痛が改善しなかったり、手術後も痛みやしびれが残る後遺症に悩まされている患者様を見てきて、「現代の医療では解決できない問題を治療したい」と表参道総合医療クリニックを開院しました。日本脳神経外科学会認定 日本脳神経外科専門医として、現在は多数の腰痛日帰り手術や、再生医療などを行い、多方面から高い評価をいただいています。

┃1.坐骨神経痛とは

坐骨神経痛とは、腰から膝下にかけて走る「坐骨神経」に沿って生じる痛みやしびれです。お尻や太ももの裏、ふくらはぎなどに痛みやしびれが現れ、多くの場合は片側の脚に生じます。特に、中高年の方に多く見られる症状です。

<坐骨神経とはどんな神経?>

坐骨神経は、下半身の動きや感覚に関わる重要な神経です。骨盤からお尻、太ももの裏を通り、膝の下まで伸びています。坐骨神経が何らかの要因で圧迫されたり刺激されたりすると、坐骨神経痛が現れます。症状の持続期間は、一時的なものから慢性的なものまでさまざまです。

<坐骨神経痛が起こるメカニズム>

坐骨神経が圧迫または刺激される原因の多くは、椎間板の変性や骨の変形、筋肉のこわばりです。これらの原因で坐骨神経が圧迫・刺激されると脳に信号が送られ、痛みを感じます。また、血行が悪かったり筋肉がこわばっていたりすると、痛みが強くなる場合もあります。

┃2.坐骨神経痛の要因となる主な病気

坐骨神経痛の多くは、腰や骨盤周辺の異常によって起こります。坐骨神経痛の原因疾患によって適切な対処法が異なるため、正確な診断が欠かせません。ここでは坐骨神経痛の要因となる代表的な病気を紹介します。

<椎間板ヘルニア>

椎間板ヘルニアは、背骨と背骨の間でクッションの役割を果たす椎間板が飛び出し、神経を圧迫する病気です。加齢による椎間板の変性で生じることが多いですが、重いものを持ち上げたときや、急な動作で発症する場合もあります。前かがみになると症状が悪化するのも特徴です。自然に治ることもあるため、まずは痛み止めの内服などで様子を見ますが、重度の場合は手術を検討します。

>>椎間板ヘルニアを詳しく知る

<脊柱管狭窄症>

脊柱管狭窄症は、背骨の中心にある管である脊柱管が狭くなり、その中を通る神経が圧迫される病気です。坐骨神経痛のほか、歩いていると足に痛みやしびれが出て、しばらく休むとまた歩ける「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」も特徴的な症状です。症状が軽ければ服薬などで様子を見ますが、重度の場合は神経ブロック注射で痛みを緩和します。それでも改善しなければ、手術を検討します。

>>腰部脊柱管狭窄症を詳しく知る

<腰椎すべり症>

腰椎すべり症は、背骨の一部が前後にずれて不安定になり、神経を圧迫する病気です。加齢による背骨の変形や関節の緩みが主な原因です。神経が圧迫されると、腰痛に加えて下肢のしびれや痛みが生じます。また、背骨のずれが原因で脊柱管が狭くなると、脊柱管狭窄症と同様に間欠性跛行の症状も現れます。治療法としてはまず痛み止めの服薬などで様子を見て、改善しなければ背骨を固定する手術を検討します。

>>腰椎すべり症について詳しく知る

<梨状筋症候群>

梨状筋症候群は、骨盤と太ももをつなぐ「梨状筋」が硬くなり、その下を通る坐骨神経が圧迫されて神経痛が出る病気です。坐骨神経痛のほか、梨状筋があるお尻の深い部分が痛くなる場合もあります。長時間座る姿勢を続けているときや、股関節を動かすときに痛みが強くなることも特徴です。治療法としてはまず筋肉をゆるめる薬やストレッチを行います。重度の場合、手術を検討することもあります。

┃3.坐骨神経痛のリスクを高める要因

以下のような要素や習慣があると、坐骨神経痛が起きやすくなります。日常生活を見直し、坐骨神経痛のリスク要因をチェックしてみましょう。

<加齢>

椎間板は加齢により水分量が減少し、弾力がなくなっていきます。年齢とともに椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の発症リスクが上がるため、坐骨神経痛が起きやすくなります。特に、脊柱管狭窄症は中高年の方に多い病気です。

<力仕事や激しいスポーツ>

仕事で重い物を持つ作業が多い人やスポーツで激しい動きをする人は腰へ負担がかかり、椎間板や関節がダメージを受けやすくなります。若くても腰への負担が大きい人は椎間板の病気のリスクが高まるため、注意しましょう。

<肥満>

体重が増えると腰にかかる負荷が大きくなり、椎間板や関節の傷みが早まります。再発のリスクを抑えるためにも、体重管理が重要です。

<姿勢>

猫背や中腰の姿勢は、腰に大きな負担をかけます。また、立ち仕事やデスクワークなどで同じ姿勢を続ける時間が長いと腰や下半身の筋肉に負担がかかり、坐骨神経が刺激されやすくなります。

<血行の悪さ>

運動不足や身体の冷えにより血流が低下すると筋肉が硬くなり、坐骨神経痛が起こりやすくなります。また、血の巡りが悪いと痛みを引き起こす物質が筋肉にとどまってしまい、痛みが強まる場合もあります。

>>坐骨神経痛のセルフチェックをしてみよう!

┃4.坐骨神経痛を改善させるセルフケア

日々の生活習慣や身体の使い方を対策するだけでも、坐骨神経痛が和らぐ場合があります。ここでは、自宅でできるセルフケア方法を紹介します。

<生活習慣を見直す>

何よりも腰に負担がかかりにくい生活習慣が大切です。デスクワークは最低1時間に1回は立ち上がり、軽く体を動かしましょう。また、猫背や反り腰になっていると坐骨神経痛の要因となります。背骨が自然なS字にカーブする姿勢を心がけましょう。ただし、特定の姿勢で痛みが出る場合は、無理をしてはいけません。どのような姿勢で過ごしたらよいか、主治医に相談してみるとよいでしょう。

<適度に運動する>

痛みが強いときには安静にする必要がありますが、症状がおさまってきたら適度な運動を取り入れましょう。腰やお尻の筋肉がほぐれ、坐骨神経への圧迫が軽減されます。筋肉が付くと血流が改善されるため、坐骨神経痛の再発が起きにくい身体づくりにもつながります。初めはウォーキングや軽いストレッチなど、比較的負荷が軽い運動がおすすめです。無理をせず、痛みが出ない範囲から始めましょう。

<身体を冷やさない>

冷えは痛みの悪化につながるため、身体を冷やさないよう対策しましょう。冬場はもちろん、夏でも冷房や冷たい飲食物によって身体が冷えることがあるため、年間を通して体を温める対策を行うことが重要です。カイロや腹巻を使って腰周りを温めたり、湯船にゆっくり浸かったりすると、筋肉の緊張が緩和されます。適度な運動と組み合わせるのもおすすめです。筋肉量が多いほど体温が上がるため、冷えにくい身体になります。

┃5.坐骨神経痛にお悩みの方へ

痛み止めやセルフケアで症状が改善しないなら、医師へ相談しましょう。長引く坐骨神経痛の治療では、根本的な原因を見つけることが重要です。椎間板や背骨、梨状筋など、どこに坐骨神経痛の原因があるのか突き止めれば、的確な治療法を選べます。当院では、脊椎手術に精通した医師が坐骨神経痛に対して根本的に治療できる方法をご提案しており、特に入院が不要な日帰り手術に力を入れています。

┃6.当院の日帰り手術

当院では、PLDD(椎間板ヘルニアレーザー治療)、PDR(経皮的椎間板再生治療)、PED(経皮的内視鏡下椎間板摘出術)、PEL(脊柱管狭窄症内視鏡下手術)、SAST(脊椎幹細胞移植術)の4種類の手術を日帰りで実施しています。症状や検査結果、患者様のご希望に応じて適切な手術をご提案いたします。

<PLDD>

PLDDはレーザーを椎間板内の髄核に照射することで、椎間板を縮小し、神経の圧迫を軽減することで痛みを改善する治療です。施術に要する時間は一箇所あたり15~30分程度で、院内の滞在時間も数時間程度で済むため、日帰りでの手術が可能です。

>>PLDDの詳細はこちら

<PDR>

PDRは経皮的椎間板再生治療ともいい、患者自身の血液を採取した後、そこから濃縮血小板由来の成長因子を抽出。濃縮血小板由来の成長因子(PRP)と幹細胞上清液を患部の椎間板に注入し、透視装置を使って損傷した椎間板に成長因子と幹細胞上清液を投与します。PLDDと併用することも可能で、日帰りで手術を受けることができます。

>>PDRの詳細はこちら

<PED>

PEDは、経皮的内視鏡下椎間板摘出術とも呼ばれる手術。細い内視鏡を使って行う手術で低侵襲なのが特徴です。手術は日帰りで受けることができるほか、術後の生活への影響も少ないとされています。

>>PEDの詳細はこちら

<PEL>

PELは全ての手術操作を内視鏡下に行う手法であり、体を大きく傷つけずに脊椎内部の奥深いところを観察し、より安全に手術操作が可能となるのが大きな特徴です。

>>PELの詳細はこちら

<SAST>

SASTとは「spine adipose-derived stem cell transplant」の略称で、「脊椎幹細胞移植術」とも言われます。椎間板や頸椎、腰椎に対して脂肪由来幹細胞を移植することで、損傷した組織の再生、修復を促して腰痛の改善を図ります。自己脂肪由来幹細胞が免疫抑制因子や抗炎症因子を分泌する機能を持つことを利用し、損傷した椎間板や脊椎の再生や修復を促し腰痛の改善を図る治療法です。治療に使う脂肪由来幹細胞は患者自身から摂取した脂肪を元に培養します。そのため体に戻したときにも副作用のリスクが低いのも特徴です。

>>SASTの詳細はこちら

┃7.治療の流れ

日帰り手術の一般的な流れをご紹介します。ご不明点などございましたら、お気軽にお尋ねください。

<検査・診察>

検査・診察問診、画像検査などを行い、患者様が手術の適応となるかどうかを判断いたします。適応の範囲内であり、治療内容についてのご説明にご理解・ご納得いただけましたら、治療へと進みます。

<治療開始>

治療予定日時にご来院いただき、局所麻酔をかけ、手術を行います。

<ご説明>

院内で30分~1時間ほどお休みいただいてから、医師による治療のご説明を行います。ご自宅での注意点などについてもお伝えしますので、ご安心ください。

<アフターケア>

経過を評価するために再度ご来院いただきます。

┃9.まとめ

当院ではすべての治療において、メリットだけでなくデメリットについてもお伝えしております。説明をお聞きになってご不安が残る場合や、気になる点がある場合には、いつでも気軽にお尋ねください。

日帰り腰痛

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