
がんの発症や治療効果と腸内細菌の関連は、さまざまな研究で報告されています。近年登場した治療法である免疫療法においても、患者さんの腸内細菌が効果に影響する可能性が指摘されています。そこで今回は、がん免疫療法の種類や仕組み、腸内細菌との関連を解説します。
<コラム監修者>

田中聡(たなか さとし)
表参道総合医療クリニック院長
大阪医科大学医学部卒業。救急車搬送が日本で一番多い「湘南鎌倉総合病院」や「NTT東日本関東病院」にて脳神経外科医として脊椎・脊髄疾患、脳疾患、がん患者の治療に従事。その後、稲波脊椎関節病院で脊椎内視鏡、森山記念病院で脳・下垂体の内視鏡の経験。様々な患者様を診療するようになりました。しかし、脳出血や脳梗塞の方は、手術をしても脳機能自体は回復しないため、麻痺は改善しません。また腰痛が改善しなかったり、手術後も痛みやしびれが残る後遺症に悩まされている患者様を見てきて、「現代の医療では解決できない問題を治療したい」と表参道総合医療クリニックを開院しました。開院後、多数の腰痛日帰り手術や、再生医療などを行い、多方面から高い評価をいただいています。
◆目次
1.がんの免疫療法とは
2.腸内細菌が免疫療法の効果に影響する
3.当院で行う6種複合免疫療法の流れ
4.6種複合免疫療法のメリット・デメリット
5.まとめ
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┃1.がんの免疫療法とは
がんの免疫療法は、人間に備わっている免疫の力を利用してがんの増殖を抑えたり、縮小を目指したりする治療法です。
がんの免疫療法には、大きく分けて以下2つの方法があります。
- 免疫にかかった抑制を解除する方法
- 免疫細胞の攻撃力を高める方法
それぞれの代表的な例として、抑制解除の方法には免疫チェックポイント阻害薬、攻撃力を高める方法には6種複合免疫療法などがあります。
<免疫チェックポイント阻害薬>
がん細胞は人に備わっている免疫の働きにブレーキをかけ、攻撃から身を守っています。免疫チェックポイント阻害薬はこのブレーキを外し、免疫ががん細胞を攻撃できるようにする薬剤です。
胃がん、子宮頸がん、メラノーマ、一部の肺がんなどに適応があり、がんの種類によって対応する薬剤が異なります。がん種によっては保険適用で使用できますが条件があり、効果に個人差もあります。
<6種複合免疫療法>

6種類の免疫細胞を取り出して培養し、数を増やして体内に戻す治療法です。働きが異なる免疫細胞を同時に活性化するので、相互作用が得られます。
ほかの治療法よりも副作用が抑えられるため、体力が低下している人でも受けられる可能性があります。ただし保険適用されず、自由診療となります。
┃2.腸内細菌が免疫療法の効果に影響する
人の腸内にはおよそ1,000種類の細菌が生息しており、種類や比率は一人ひとり異なります。近年では、炎症性腸疾患や糖尿病、そしてがんなど、さまざまな全身の病気に腸内細菌が関連していると判明してきました。
<がんの免疫療法と腸内細菌の関係>
がんの免疫療法は効果に個人差があり、腸内細菌が効き目に関連していることが報告されています。大腸がんなどの消化器がんはもちろん、肺など全身のがんの治療効果にも影響があります。
2025年7月、国立がん研究センター腫瘍免疫研究分野など複数の機関で構成されたチームは、英国科学雑誌「Nature」において、YB328株という腸内細菌が免疫細胞の一種である樹状細胞を活性化すると発表しました。樹状細胞は免疫システムの司令塔のような役割を担っており、YB328株の投与によって免疫療法が効きやすくなる効果が期待できます。
日本人の場合、YB328株を持っているのは20%程度と推定されています。投与の実用化にはまだ課題もありますが、今後、免疫療法に応用される可能性を秘めています。
参考:腸内細菌は樹状細胞を介して腸から離れたがんの免疫環境に影響する 免疫チェックポイント阻害薬の作用に関与する新たな腸内細菌を同定|国立がん研究センター
┃3.当院で行う6種複合免疫療法
当院では、自由診療で6種複合免疫療法を行っております。培養は、国内の施設で行います。
<6種複合免疫療法の流れ>
初回の採血を行った後、3週間の培養を経て点滴投与します。採血・点滴は6回行い、合計で約4.5ヶ月が目安です。
1回の点滴時間は20〜30分程度です。点滴を行う前に、次回の点滴のための採血を行います。
┃4.6種複合免疫療法のメリット・デメリット
<メリット>
- 三大治療法(手術、薬物療法、放射線治療)と併用できる
- 副作用が抑えられる
- 入院せずに外来で施行できる
- ほかの医療機関に入院中でも、外出許可があれば受けられる
- 手術後の再発抑制効果も期待できる
<デメリット>
- 自由診療なので治療費が全額自己負担
- 採血や点滴の後に、発熱やかゆみなどの症状が出る場合がある
- 効果に個人差がある
- 患者さんの体調や血液の状態などの条件により、採血からやり直しになる場合がある
┃5.まとめ
がんの免疫療法は効き目に個人差がありますが、腸内細菌を活用した治療法の研究が進めば、効果を高められる可能性があります。
当院では、6種複合免疫療法のほかにも腹腔内化学療法、温熱療法などのがん治療を行っており、患者さんの病状やご希望に応じて治療法をご提案しております。まずは主治医にお話しいただいた上で、ぜひ当院までご相談ください。
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