院長ブログ

2025.09.29

腰痛の原因は大きく分けて4つ、自分のタイプに合った腰痛日帰り手術を選ぶポイント解説

「腰痛」といっても痛みの出方や、根本原因は人によって様々。しかし大きく区分すると原因は4つに分けることができます。今回は腰痛の原因と、それぞれの原因に対してどのような日帰り手術があるのかご紹介。ご自身の腰痛にはどの日帰り手術が合っているのかの選び方も解説します。

<コラム監修者>

田中聡院長

田中聡(たなか さとし)

表参道総合医療クリニック院長


大阪医科大学医学部卒業。救急車搬送が日本で一番多い「湘南鎌倉総合病院」や「NTT東日本関東病院」にて脳神経外科医として脊椎・脊髄疾患、脳疾患、がん患者の治療に従事。その後、稲波脊椎関節病院で脊椎内視鏡、森山記念病院で脳・下垂体の内視鏡の経験。様々な患者様を診療するようになりました。しかし、脳出血や脳梗塞の方は、手術をしても脳機能自体は回復しないため、麻痺は改善しません。また腰痛が改善しなかったり、手術後も痛みやしびれが残る後遺症に悩まされている患者様を見てきて、「現代の医療では解決できない問題を治療したい」と表参道総合医療クリニックを開院しました。開院後、多数の腰痛日帰り手術や、再生医療などを行い、多方面から高い評価をいただいています。

┃1.腰痛の原因は大きく4つ

腰痛の原因は大きく「脊柱管性(神経性)」と「椎間板性」に分けられます。さらにそれぞれで圧迫があるのか、損傷があるのかに区分できるので、大きく4つに分類することができます。

まずは自分の症状が①~④のどこに当てはまるか確認しましょう。

<①脊柱管性の圧迫による腰痛>

腰部分の背骨が何かしらの理由で圧迫されてしまうことで、神経にあたり、痛みやしびれが発生します。多くの場合、「脊柱管狭窄症」と診断されることがほとんどです。また「腰部すべり症」や「変形性腰椎症」が悪化したことで、脊柱管狭窄症が発生する場合もあります。

<②脊柱管性の損傷による腰痛>

腰部分の背骨が何かしらが原因で傷ついてしまい、それが原因で痛みや痺れが発生します。損傷の理由の多くは、脊柱管狭窄症など神経痛の原因を長年放置してしまったこと。神経は自己治癒力では修復だけでなく、手術での回復も難しいとされています。そのため、神経後遺症として慢性的な痛みや痺れに悩まされてしまいます。

<③椎間板性の圧迫による腰痛>

椎間板のクッション的な役割を担う髄核が飛び出してしまい、近くの神経を圧迫してしまうことで起こる腰痛です。「椎間板ヘルニア」と診断されることがほとんどです。

<④椎間板性の損傷による腰痛>

「椎間板性腰痛」は、椎間板自体が損傷し、その修復のために神経が内部に入り込むことで痛みが生じます。重いものを持ち上げる動作や長時間の座り姿勢などのほか、加齢によって椎間板が変性を起こすことでも症状が生じます。

┃2.腰痛の日帰り手術について

腰痛の日帰り手術は主に6つです。腰痛の原因によって適切な治療方法を選択します。また患者さんの生活環境などもお伺いし、生活に寄り添った治療方法を考えます。

<A:セルゲル法>

セルゲル法は、治療、PIDT法とも呼ばれる治療方法。フランスで開発され、椎間板ヘルニアの治療法としてヨーロッパを中心に行われています。椎間板ヘルニアなどが原因の腰痛を治療するため、特殊なジェル状の「DiscoGel®」を椎間板に注入し、椎間板内で圧力をかけている要因を取り除きます。

DiscoGel®は科学的に、髄核の一部を破壊、融解させる「科学的髄核融解術」に分類される方法で、髄核を破壊する成分「エチルアルコール」を主成分とする薬剤を投与して、治療を行います。椎間板のボリュームが減少しないのが特徴です。また切開を伴わないため、身体への負担も比較的少なくすみます。

ただし、2021年には医学誌「Neurocirugía」にて、治療後、下肢に神経痛などが出る「下垂足」などの症状が出ると報告されています。

またセルゲル法は椎間板性の治療であり、脊柱管狭窄症も合併している場合は適応外となります。そのほかすべり症などの不安定性が見られる場合も、外科的な手術が必要となるため適応外となります。

<B:内視鏡治療>

内視鏡を使って、圧迫が起きている原因を取り除きます。脊柱管狭窄症の圧迫を取り除く場合は「PEL」、椎間板内の内圧を下げる場合は「PED」という術式を使って治療します。いずれも皮膚の切開は7㎜程度で傷が少なくすむほか、局所麻酔でできるので高齢者などの全身麻酔が難しい患者さんにも対応できます。

【PEL法(脊柱管狭窄症内視鏡下手術)】

7〜8mmの小さな切開で行う手術です。局所麻酔で神経の圧迫を取り除けるため、日帰りが可能。早期に社会復帰したい方や、持病や年齢により全身麻酔下の手術が受けられない方にとって、特に利点の大きい手術です。

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【PED法(経皮的内視鏡下椎間板摘出術)】

<PED>

内視鏡を使用して椎間板を摘出する手術です。細い内視鏡を使って手術を行うため切開幅は約7mmと体への負担を抑えられ、日帰りが可能。PLDD法(レーザー治療)の適応は主に軽度〜中等度の椎間板ヘルニアですが、PED法では重症例にも効果が期待できます。

>>PEDの詳細はこちら

<C:椎間板修復治療>

椎間板や脊柱管の神経が傷つくと、自然治癒することが難しいとされています。そのため再生医療を使って患部の修復を試みます。当院では「PDR法」と「ディスクフロー治療」を採用しています。

【PDR法(経皮的椎間板再生治療)】

PDRは経皮的椎間板再生治療ともいい、患者自身の血液を採取した後、そこから濃縮血小板由来の成長因子を抽出。濃縮血小板由来の成長因子(PRP)と幹細胞上清液を患部の椎間板に注入し、透視装置を使って損傷した椎間板に成長因子と幹細胞上清液を投与します。PLDDと併用することも可能で、日帰りで手術を受けることができます。

>>PDRの詳細はこちら

【ディスクフロー治療】

ディスクフロー治療

傷を塞ぐ接着剤のような役割を持つ「フィブリン」という物質を患者さんの血液から生成し、椎間板の亀裂を封鎖する治療です。ご自身の血液からつくる自己フィブリンなので、アレルギーや拒絶反応、感染などのリスクを抑えられます。

>>ディスクフロー治療の詳細はこちら

【PRP療法(多血小板血漿療法)】

PRP療法は、患者さんの血液から血小板を抽出・濃縮し、患部に注射する治療法です。血小板にはさまざまな成長因子が含まれており、組織の修復を促す効果が期待できます。

>>>PRP療法の詳細はこちら

<D:椎間板レーザー治療>

椎間板レーザー治療は「PLDD」とも呼ばれる治療法で、椎間板ヘルニアや坐骨神経痛など、椎間板を圧迫していることで腰痛が起きている場合に適応される治療法です。

【PLDD法(経皮的レーザー椎間板減圧術)】

【PLDD】

PLDDはレーザーを椎間板内の髄核に照射することで、椎間板を縮小し、神経の圧迫を軽減することで痛みを改善する治療です。施術に要する時間は一箇所あたり15~30分程度で、院内の滞在時間も数時間程度で済むため、日帰りでの手術が可能です。

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<E:脊柱管修復治療>

椎間板や脊柱管の圧迫を取り除いたとしても、神経のダメージが回復するわけではありません。そこで神経そのものの修復効果を期待して行う再生医療です。

【SAST】

SASTとは「spine adipose-derived stem cell transplant」の略称で、「脊椎幹細胞移植術」とも言われます。椎間板や頸椎、腰椎に対して脂肪由来幹細胞を移植することで、損傷した組織の再生、修復を促して腰痛の改善を図ります。自己脂肪由来幹細胞が免疫抑制因子や抗炎症因子を分泌する機能を持つことを利用し、損傷した椎間板や脊椎の再生や修復を促し腰痛の改善を図る治療法です。治療に使う脂肪由来幹細胞は患者自身から摂取した脂肪を元に培養します。そのため体に戻したときにも副作用のリスクが低いのも特徴です。

>>SASTの詳細はこちら

【PRP療法(多血小板血漿療法)】

PRP療法は、患者さんの血液から血小板を抽出・濃縮し、患部に注射する治療法です。血小板にはさまざまな成長因子が含まれており、組織の修復を促す効果が期待できます。

>>>PRP療法の詳細はこちら

┃3.自分に合った日帰り手術を探す

具体的にどんな手術があるかわかったところで、この記事の初めにご紹介した腰痛の原因分類を思い出してください。①~④の項目ではどの治療が適切なのか解説します。

<①脊柱管性の圧迫による腰痛>

→B:内視鏡治療

PLDDやセルゲル法は椎間板の内圧を軽減する方法なので、脊柱管性の治療には適切ではありません。日帰りで受けられる手術としてはBの中でも「PEL」が適切な治療となります。

また内視鏡による治療は再生医療と組み合わせて治療を行うことが可能。併用するとより早い回復が期待できます。

<②脊柱管性の損傷による腰痛>

→E:脊柱管幹細胞移植術

脊柱管内の神経細胞が損傷していることが原因で起こる痛みについては、根本的に治療しようとすると神経細胞を修復するほかありません。そのため、患部に修復作用のある幹細胞を直接注入し、治療を行います。

<③椎間板性の圧迫による腰痛>

→A:セルゲル法/B:内視鏡治療/D:椎間板レーザー治療

椎間板の圧迫を取り除く手術が適切です。Aのセルゲル法とDのレーザー治療は予後があまり変わらないという論文も出ています。また2つの治療は圧力を除去することは可能ですが、椎間板の修復をするわけではないので、場合によっては再発のリスクがあります。

Bの項目内のうち、椎間板に適応できるのは「PED」という手術。これも減圧する治療ではありますが、椎間板を修復する再生医療と組み合わせて治療することが可能であるため、再発のリスクをより軽減することが可能です。

<④椎間板性の損傷による腰痛>

→C:椎間板修復治療

再生医療を使った手術を施します。損傷部位や患者さんの状況に応じて、Cの項目内にある「PDR」「ディスクフロー治療」「PRP療法」のいずれかで修復を図ります。

┃4.まとめ

「腰痛」と一言に言っても、原因や患者さんの状況に応じて様々な治療法があります。またどれか1つを行えばいいというものでもありません。治療した箇所の修復速度などに応じて対応するべきことがあります。まずは自分の腰痛がどのようなことが原因で起きているのかを知ることが一歩です。もしも腰痛に悩んでいる方がいましたらお気軽にご相談ください。

日帰り腰痛手術

┃YouTubeでも医療知識を紹介しています

今回の内容はYouTubeでも田中院長がお話ししています。そのほかにも様々ありますので、ぜひご覧ください。



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