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2025.07.18

坐骨神経痛はお尻の筋肉硬直が原因かも?「梨状筋症候群」後遺症を再生医療で改善する

足やお尻に痛みやしびれが発生してしまうことを「坐骨神経痛」と言います。坐骨神経痛を引き起こす要因は様々ありますが、その中の1つが「梨状筋症候群」。股関節を支える筋肉である「梨状筋」が硬くなってしまい、神経を圧迫することで症状が現れます。ダメージを負った神経は自然回復が難しいため、後遺症として痛みやしびれが残ることも。後遺症を残さないためにも、早期治療が大切です。ここでは梨状筋症候群について原因や治療法だけでなく、後遺症が残ったときの対策までご紹介します。

<コラム監修者>

田中聡院長

田中聡(たなか さとし)

表参道総合医療クリニック院長


大阪医科大学医学部卒業。救急車搬送が日本で一番多い「湘南鎌倉総合病院」や「NTT東日本関東病院」にて脳神経外科医として脊椎・脊髄疾患、脳疾患、がん患者の治療に従事。その後、稲波脊椎関節病院で脊椎内視鏡、森山記念病院で脳・下垂体の内視鏡の経験。様々な患者様を診療するようになりました。しかし、脳出血や脳梗塞の方は、手術をしても脳機能自体は回復しないため、麻痺は改善しません。また腰痛が改善しなかったり、手術後も痛みやしびれが残る後遺症に悩まされている患者様を見てきて、「現代の医療では解決できない問題を治療したい」と表参道総合医療クリニックを開院しました。開院後、多数の腰痛日帰り手術や、再生医療などを行い、多方面から高い評価をいただいています。

┃1.梨状筋症候群とは?

「梨状筋症候群」とは、坐骨神経痛の1つ。梨状筋(りじょうきん)とは、お尻の筋肉の中でも、奥深くに位置する筋肉で、股関節を支える役割を担っています。この筋肉の下に人体で最も長くて太い坐骨神経が通っています。

通常は柔らかい梨状筋が硬くなったり、腫れたりすることで坐骨神経を骨盤出口部で圧迫したり、刺激を与えてしまったりしてしまいます。それが慢性的な痛みやしびれを引き起こしてしまうのです。腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症に比べると症例数は少ないものの、誰にでも起こる可能性のある疾患でもあります。

>>梨状筋症候群以外の坐骨神経痛の原因

┃2.梨状筋が硬くなる原因

梨状筋が硬くなる主な原因は日常の姿勢や動作など。様々な要因が副法的に影響することで、梨状筋が本来持っている柔軟性が失われてしまい、硬直してしまいます。ここでは主な原因について紹介します。

<長時間座りっぱなし>

デスクワークや長距離の運転など、同じ姿勢で長時間座っていると、梨状筋が圧迫されて血行が悪くなってしまいます。これが続くと次第に筋肉自体が硬直してしまいます。

<姿勢が悪い>

猫背や反り腰などは、股関節に負担をかけるため、梨状筋にも負荷がかかってしまいます。

<運動不足>

運動不足になると、お尻や股関節周りの筋肉が弱くなってしまいます。その結果、梨状筋に負担がかかりやすくなり、筋肉の硬直を引き起こす可能性が高まります。また筋力低下は股関節の可動域を狭めてしまい、柔軟性も損なわれてしまいます。

<過剰な運動とアフターケア不足>

急に激しく動いたり、連続して股関節に負荷がかかる運動を行うと、筋肉が炎症を起こし、硬直してしまいます。運動後のクールダウンやアフターケアなどを怠ると炎症が悪化する場合もあります。

<股関節の異常>

元々、股関節に何かしらの異常があり、股関節が変形していたり、動きが悪い場合は梨状筋に負担がかかっていることがあります。

┃3.梨状筋症候群の対処と予防

梨状筋症候群が軽度の場合、安静にしていれば自然に痛みも収まっていきます。しかし、症状が軽いからと無理をしたり、今までの生活を続けていると症状が悪化してしまい、重症化してしまうことも。そこで、軽度の段階で気を付けたいことをまとめました。再発の予防にも役立ててください。

<長時間の座りっぱなしを避ける>

長時間同じ姿勢でいると、どうしても筋肉は硬直してしまいます。なので定期的に立ち上がったり、伸びをしたりして、少しでも体を動かしましょう。血流改善にも役立ちます。

<冷え対策>

体が冷えると血流が悪くなり、筋肉が硬直してしまいます。特にお尻は梨状筋の位置する場所なので意識して温めるようにしましょう。対策は冬場だけでなく、冷房が効きすぎていて、知らず知らずの間に冷えが起きてしまっていることもある夏も行うことをおすすめします。

<適度な運動>

ウォーキングやジョギング、ストレッチなど適度な運動を日常生活に取り入れてみましょう。とにかく毎日継続することが重要です。無理のない範囲で、長く続けられる方法を模索してみましょう。

ストレッチをする場合は、股関節を外側に捻る運動を加えるとより効果的です。

<姿勢の改善>

自分自身の姿勢がどうなっているのか見直しましょう。鏡で見てみるだけでなく整体などで体の歪みを取るのも効果的です。

>>日常で気を付けたいことチェックリスト

┃4.我慢できないぐらい痛い場合

我慢できないぐらい痛く、日常生活に影響が出ている場合は重症化していると判断されます。また問題なく生活できるようにするため、基本的には保存療法が中心となります。具体的には以下の処置が行われます。

<薬物療法>

ロキソニンなどの「非ステロイド炎症薬」や、筋肉の緊張を緩和する「筋弛緩薬」などを服用し、痛みを軽減します。

<ブロック注射>

梨状筋の周辺に局所麻酔薬やステロイド薬を注射し、直接痛みや炎症を抑える方法です。即効性のある治療方法です。

┃5.梨状筋症候群の後遺症治療

梨状筋症候群による痛みの原因は神経の圧迫です。神経は一度傷つくと元に戻らない組織です。そのため、梨状筋の硬直が改善して神経の圧迫が無くなったとしても、長期間圧迫を受けていた神経のダメージは残ってしまい、痛みやしびれが無くならないという事例もあります。

そこで効果的なのが幹細胞を使った再生医療です。

<幹細胞治療とは>

幹細胞は身体の修復や再生が必要なときに自ら細胞分裂を行い、傷ついたり不足した細胞の代わりとなる細胞です。体の修復能力を持つので、これまで難しかったとされる症状も治すことができると注目を集めています。

幹細胞は分裂して同じ細胞を作る能力を持った「組織幹細胞」と「多能性幹細胞」の2種類に分けられます。組織幹細胞の中でも間葉系幹細胞は骨髄や脂肪、歯髄、へその緒、胎盤などの組織に存在する体性幹細胞の一種で、さまざまな細胞へ分化することができます。

変形性腰椎症の治療では、患者自身の体から採取した脂肪細胞をもとに幹細胞を培養。それを静脈投与、脊髄腔内投与で患部に注入し、神経細胞の修復を試みます。

>>幹細胞治療について

┃6.当院の幹細胞治療の流れ

当院で行っている幹細胞治療の流れを紹介します。幹細胞治療を行う際には、主に下記のような流れで治療を進めていきます。

<①カウンセリング>

事前に服薬情報やMRI画像などをご用意していただいた上で、医師がカウンセリングを行います。体調や既往歴、服薬中の薬、リハビリ状況などを伺います。

<②検査>

感染症の有無を調べるための血液検査や、胸部のレントゲン検査、心電図検査などを行います。

<③脂肪採取>

腹部からごく少量の脂肪を採取します。入院などは不要な場合がほとんどです

<④幹細胞の培養>

脂肪細胞から幹細胞を分離、培養します。培養には約3週間を要します。

<⑤幹細胞の静脈内投与、局所投与>

培養した幹細胞を点滴、局所に投与します。

<⑥経過観察>

その後の効果について定期的に経過観察を行います。

┃7.費用について

当院の治療メニューと料金をご紹介します。

項目 価格
医師による診察・カウンセリング 11,000円
感染症検査(採血) 11,000円
幹細胞点滴(1億個) 1,650,000円

※自費診療です

※税込価格です

┃8.再生医療のメリットとデメリット

再生医療はさまざまなメリットがある一方、新しい治療であるためリスクも存在します。

<メリット>

  • 患者自身の細胞を使っているので安全性が高く、副作用が少ないです
  • 今までは対応が難しかった症例も根本的に治療ができる可能性があります
  • 入院の必要がなく、外来で治療をすることができます

<デメリット>

  • 自由診療のため保険が適応されません
  • 新しい治療法のため、長期での体への影響が確認されていません
  • 患者自身の再生力を利用した治療法なので、効果が現れるまでに個人差があります

┃9.まとめ

神経細胞はこれまで修復不可能だとされてきましたが、再生医療の研究が進み、回復や修復を見込めるようになってきています。痛みやしびれに悩まされている人は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか? 何か気になることがありましたらお気軽に当院にご相談ください。

再生医療

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