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2025.04.23

脳卒中の後遺症克服に再生医療という選択肢、費用について徹底解説!

脳卒中の後遺症で、リハビリに励んでも思うように改善しない……そんな経験はありませんか?「もうこれ以上の回復は難しい」と言われた瞬間、希望の光が消えたように感じた方もいるでしょう。しかし近年、再生医療という新しい選択肢が生まれ、失った機能を取り戻す可能性が見えてきました。特に、幹細胞治療は脳卒中後の麻痺や運動障害などに対し、体の再生力を引き出す治療法として注目されています。今回は、脳卒中の後遺症に苦しむ方へ向けて、再生医療の仕組みと費用面を含めて詳しくご紹介します。

<コラム監修者>

田中聡院長

田中聡(たなか さとし)

表参道総合医療クリニック院長


大阪医科大学医学部卒業。救急車搬送が日本で一番多い「湘南鎌倉総合病院」や「NTT東日本関東病院」にて脳神経外科医として脊椎・脊髄疾患、脳疾患、がん患者の治療に従事。その後、稲波脊椎関節病院で脊椎内視鏡、森山記念病院で脳・下垂体の内視鏡の経験。様々な患者様を診療するようになりました。しかし、脳出血や脳梗塞の方は、手術をしても脳機能自体は回復しないため、麻痺は改善しません。また腰痛が改善しなかったり、手術後も痛みやしびれが残る後遺症に悩まされている患者様を見てきて、「現代の医療では解決できない問題を治療したい」と表参道総合医療クリニックを開院しました。日本脳神経外科学会認定 日本脳神経外科専門医として、現在は多数の腰痛日帰り手術や、再生医療などを行い、多方面から高い評価をいただいています。

┃1.脳卒中で後遺症が残る理由

脳卒中は、脳の血管が詰まる「脳梗塞」や、破れて出血が起こる「脳出血」「くも膜下出血」によって脳細胞がダメージを受ける病気の総称です。発症時に詰まった血管を再び流れるようにしたり、止血したりして、治療したとしても、ダメージを受けた脳細胞は回復することが難しく、後遺症として残ることがあります。

<主な後遺症>

半身麻痺 手足の痺れや、動かしづらさを覚えます
吃音障害/失語症 話す、聞く、読む、書くことが困難になります
嚥下障害 飲み込む力が低下し、のどや胸に使えている感覚を覚えることがあります
感覚障害 触覚や痛覚が鈍くなったり過敏になったりする場合があります。発症して半年後ごろからしびれが強くなる場合もあります
高次脳機能障害 記憶力、集中力、認知機能が低下します
抒情失禁 感情のコントロールがきかなくなります

こうした後遺症は、発症から時間が経つほど重度になっていきます。また一度損傷を受けた脳細胞は自然に再生する力が限られているため、リハビリによる機能回復にも限界があるのが現実です。

┃2.従来の治療法の限界と再生医療の可能性

リハビリや薬物治療は、症状の悪化を防いだり、残った機能を活かす対症療法に過ぎません。一方で、再生医療は「根本的な機能回復」を目指す治療法です。当院では幹細胞を使った再生医療に取り組んでいます。

<幹細胞治療とは>

幹細胞は身体の修復や再生が必要なときに自ら細胞分裂を行い、傷ついたり不足した細胞の代わりとなる未分化の細胞です。体の修復能力を持つので、これまで難しかったとされる症状も治すことができると注目を集めています。

幹細胞は分裂して同じ細胞を作る能力を持った「組織幹細胞」と「多能性幹細胞」の2種類に分けられます。組織幹細胞の中でも間葉系幹細胞は骨髄や脂肪、歯髄、へその緒、胎盤などの組織に存在する体性幹細胞の一種で、さまざまな細胞へ分化することができます。再生が困難とされていた神経や血管、免疫系にも作用すると言われており、損傷した脳神経の回復促進にも作用することがわかってきました。

当院の幹細胞治療では、患者自身の体から採取した脂肪細胞をもとに幹細胞を培養。それを静脈投与、脊髄腔内投与で患部に注入し、神経細胞の修復を試みます。

【脳卒中の後遺症に期待される効果】

  • 炎症を抑える
  • 損傷した神経の修復を助ける
  • 神経ネットワークの再構築を促す など

>>幹細胞治療について

┃3.再生医療「幹細胞治療」の費用相場は?

「幹細胞治療を受けたい」と思っても気になるのが費用相場。自由診療に分類されるので、価格も含めてどこのクリニックを受けるのか慎重になる方も少なくありません。ここでは再生医療の中でも幹細胞を使った治療方法に焦点を当てて紹介していきます。参考として、脳卒中の治療ではありませんが、保険適応の脊髄再生治療の費用感についても解説します。

<例①保険診療:脊髄再生治療>

2018年12月に、自己骨髄由来間葉系幹細胞を使った脊髄再生治療薬が、7年間の条件付きで保険適用の対象になりました。脊髄再生医療は、脊髄神経に治療を施し、新しい神経回路を作り上げることで手足の麻痺を改善する治療法で、1回分の薬価は約1500万円です。しかし、保険適用のため、その2〜3割の約450万円が自己負担分となります。また、高額療養費を受けることも可能です。

<例②自由診療:美容形成/変形性膝関節症など>

幹細胞治療は脳卒中の後遺症や、神経由来の痛みの改善などにも用いられています。しかし、そのほとんどが自由診療です。幹細胞を取り出して、体内に戻す治療の場合、数十万円から数百万円、場合によっては1千万円を超える場合も珍しくありません。

┃4.当院の脳卒中後遺症に対する再生医療とは

表参道総合医療クリニックでは、日本脳神経外科学会認定 日本脳神経外科専門医の資格を持つ医師が後遺症治療に再生医療を用いた治療を提供しています。

>>再生医療について

<特長①脳神経外科医による的確な診断と戦略設計>

院長の田中聡は、日本脳神経外科学会認定の日本脳神経外科専門医を取得した医師です。MRIや脳波、神経所見を元に、患者ごとに適切な投与部位やタイミングを設計します。

<特長②こだわった幹細胞の質と投与方法>

当院では自己脂肪由来の間葉系幹細胞(ASC)は患者自身から採取したものから幹細胞を培養します。そのため副作用をより少なく留めることができます。また投与する際も、患部にできるだけ直接届けるために、点滴や局所投与だけでなく、髄腔内に直接投与する方法などにも対応しています。

<特長③厚労省認可の再生医療等提供機関>

当院は「第二種再生医療等技術」に基づき、幹細胞治療を正式に届け出済みの医療機関です。安全管理も徹底しています。

>>再生医療を提供する病院選びのポイント

┃5.治療費について

再生医療は保険適用外の自由診療となります。費用の一例は以下の通りです(すべて税込)。

項目 価格
医師による診察・カウンセリング 11,000円
感染症検査(採血) 11,000円
PRP神経修復治療 1か所55万円
幹細胞培養上清神経修復治療 1か所44万円
幹細胞培養上清髄腔内投与 1回 55万円
脂肪由来幹細胞点滴投与 1回165万円
脂肪由来幹細胞髄腔内投与 1回198万円

┃6.再生医療のメリットとデメリット

幹細胞治療はさまざまなメリットがある一方、新しい治療であるためリスクも存在します。

<メリット>

  • 患者自身の細胞を使っているので安全性が高く、副作用が少ないです
  • 今までは対応が難しかった症例も根本的に治療ができる可能性があります
  • 入院の必要がなく、外来で治療をすることができます

<デメリット>

  • 自由診療のため保険が適応されません
  • 新しい治療法のため、長期での体への影響が確認されていません
  • 患者自身の再生力を利用した治療法なので、効果が現れるまでに個人差があります

┃7.まとめ

再生医療は、魔法のような治療ではありません。しかし、「これ以上は回復が望めない」と言われた方々にとっては、回復の可能性がある治療方法かもしれません。もしも気になった方はお気軽にお問い合わせ、ご相談ください。

再生医療

【参考資料・論文】

・Shen Z, et al. (2024).
Efficacy and safety of mesenchymal stem cell therapies for ischemic stroke: a systematic review and meta-analysis.
PubMed: 39159204

・Hovhannisyan L, et al. (2024).
A review and meta-analysis of stem cell therapies in stroke patients: effectiveness and safety evaluation.
PubMed: 37733251

・Steinberg GK, et al. (2019).
Phase I/II Study of Intravenous Allogeneic Mesenchymal Stem Cells in Chronic Stroke.
DOI: 10.1161/STROKEAHA.119.026318

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