院長ブログ

公開日:2025.04.22
最終更新日:2026.05.20

脳卒中の後遺症を治す再生医療とは? 幹細胞治療で神経などを修復する選択肢も

脳卒中を経験し、「右半身がずっと麻痺したまま」「食事や排泄に介助が必要」といった後遺症にお悩みではありませんか?

かつては、脳卒中の後遺症の治療法はリハビリしか選択肢がなく、完全に治らないか改善に時間がかかるケースが一般的でした。しかし、近年では再生医療の研究が進み、後遺症からの回復が目指せるようになってきています。

そこで今回は、当院で扱っている再生医療の一つ「幹細胞治療」についてご紹介します。

<コラム監修者>

田中聡院長

田中聡(たなか さとし)

表参道総合医療クリニック院長


大阪医科大学医学部卒業。救急車搬送が日本で一番多い「湘南鎌倉総合病院」や「NTT東日本関東病院」にて脳神経外科医として脊椎・脊髄疾患、脳疾患、がん患者の治療に従事。その後、稲波脊椎関節病院で脊椎内視鏡、森山記念病院で脳・下垂体の内視鏡の経験。様々な患者様を診療するようになりました。しかし、脳出血や脳梗塞の方は、手術をしても脳機能自体は回復しないため、麻痺は改善しません。また腰痛が改善しなかったり、手術後も痛みやしびれが残る後遺症に悩まされている患者様を見てきて、「現代の医療では解決できない問題を治療したい」と表参道総合医療クリニックを開院しました。日本脳神経外科学会認定 日本脳神経外科専門医として、現在は多数の腰痛日帰り手術や、再生医療などを行い、多方面から高い評価をいただいています。

┃1.脳卒中は脳の血管障害による損傷

「脳卒中」とは、脳の血管が詰まったり破れたりして脳が損傷を受ける病気です。脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の3つに分けられます。

病名 詳細
脳梗塞 血栓などにより脳の血管が詰まり、脳が壊死する病気です。脳卒中患者のうち、6〜7割程度を占めます。
脳出血 脳の中の細い血管が高血圧などで脆くなって破れ、出血して脳の細胞がダメージを受ける病気です。
くも膜下出血

脳の周りにある「くも膜下腔」の脳血管が破れて出血する病気です。主な原因は脳動脈瘤の破裂とされています。

いずれも命に関わる病気であり、一命を取り留めたとしても、手足の麻痺や言語障害、感情のコントロールが難しくなるといった後遺症が残るケースが珍しくありません。

┃2.脳梗塞の主な後遺症と一般的な治療法

発症してからの処置が早ければ早いほど脳細胞のダメージが少なく済み、後遺症が軽くなる傾向があります。しかし、多くの場合は以下のような後遺症が残ります。

<主な後遺症>

  • 片側の手足の麻痺・しびれ
  • 言葉がうまく話せない
  • 飲み込みが困難
  • 記憶や判断力の低下
  • 感情の起伏が激しい
  • 気分が憂うつになる
    など

脳卒中の後遺症に対しては、リハビリテーションを行うのが一般的です。たとえば手足に麻痺が残っている場合、麻痺が出ている部位の周辺の筋力を強化するなどのトレーニングを行います。

早期にリハビリテーションを開始するほど機能が回復しやすくなるとされていますが、発症前と同程度まで改善するのは難しい場合も珍しくありません。

┃3.脳卒中の後遺症に対する新しい選択肢「再生医療」

再生医療は、人間が本来持つ自己修復力を利用して組織の回復を促す医療です。脳や神経の損傷は修復に時間がかかりますが、再生医療によって再生を促すことで、回復スピードを速められる可能性があります。

再生医療にはさまざまな方法がありますが、脳卒中の後遺症に対して、当院では主に「幹細胞治療」を行っています。

<幹細胞治療とは>

幹細胞は、さまざまな細胞に分化できる能力を持った細胞です。

組織の修復や再生が必要なときに自ら細胞分裂を行い、傷ついたり不足した細胞の代わりとなります。この働きにより、これまで再生が難しいとされてきた神経などの組織も、再生を促すことができます。

当院の幹細胞治療では、患者さんの体から採取した脂肪細胞をもとに幹細胞を培養します。ご自身の細胞を使用するため、アレルギーや拒絶反応のリスクを抑えられるのが特徴です。

>>幹細胞治療について

┃5.当院の幹細胞治療の流れ

<①カウンセリング>

まずは、医師が体調や既往歴、服薬中の薬、リハビリの状況などを伺います。可能な範囲で、服用している薬剤の名称やMRI画像などをご用意ください。

<②検査>

感染症の有無を調べるための血液検査など、必要な検査を行います。

<③脂肪採取>

腹部から少量の脂肪を採取します。入院は不要な場合がほとんどです。

<④幹細胞の培養>

脂肪細胞から幹細胞を分離し、培養します。培養にかかる時間は、3週間程度が目安です。

<⑤幹細胞の投与>

培養した幹細胞を、点滴や注射などで投与します。

<⑥経過観察>

治療後の効果について定期的に経過観察を行います。治療効果を確認しながら、並行してリハビリも行います。

┃6.治療費について

項目 価格
医師による診察・カウンセリング 11,000円
感染症検査(採血) 11,000円
脂肪由来幹細胞点滴投与 1回165万円
脂肪由来幹細胞髄腔内投与 1回198万円

┃7.幹細胞治療のメリットとデメリット

幹細胞治療はさまざまなメリットがある一方、新しい治療であるためリスクも存在します。

<メリット>

  • 患者さん自身の細胞を使うため、アレルギーや拒絶反応のリスクを抑えられます
  • リハビリでの改善が難しかった症状でも治療ができる可能性があります
  • 入院の必要がなく、外来で治療できます

<デメリット>

  • 自由診療のため保険が適応されません
  • 新しい治療法のため、長期での体への影響が確認されていません
  • 患者さん自身の再生力を利用した治療法なので、効果の現れ方に個人差があります

┃8.まとめ

脳卒中の後遺症はリハビリで改善する場合もありますが、時間がかかったり症状を完全に治すのは難しかったりするケースも珍しくありません。

リハビリを継続しつつ、神経の機能修復も見込める再生医療を併用することで、後遺症からのより早期の回復が見込める可能性があります。気になった方は、気軽にお問い合わせください。

再生医療とは

脳出血

脳梗塞

くも膜下出血

【参考資料・論文】

『脳梗塞後遺症の機能回復を目指した骨髄間葉系幹細胞治療』

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