院長ブログ

2026.01.28

がん免疫療法「6種複合免疫療法」とは? がん化のメカニズムと自己免疫も詳しく解説

がんの最大標準療法である手術、放射線治療、化学療法に続く「がんの第4の治療法」として注目を集める「がん免疫療法」。今回は免疫療法の中でも、がん治療に特化した6種複合免疫療法について解説します。

<コラム監修者>

田中聡院長

田中聡(たなか さとし)

表参道総合医療クリニック院長


大阪医科大学医学部卒業。救急車搬送が日本で一番多い「湘南鎌倉総合病院」や「NTT東日本関東病院」にて脳神経外科医として脊椎・脊髄疾患、脳疾患、がん患者の治療に従事。その後、稲波脊椎関節病院で脊椎内視鏡、森山記念病院で脳・下垂体の内視鏡の経験。様々な患者様を診療するようになりました。しかし、脳出血や脳梗塞の方は、手術をしても脳機能自体は回復しないため、麻痺は改善しません。また腰痛が改善しなかったり、手術後も痛みやしびれが残る後遺症に悩まされている患者様を見てきて、「現代の医療では解決できない問題を治療したい」と表参道総合医療クリニックを開院しました。開院後、多数の腰痛日帰り手術や、再生医療などを行い、多方面から高い評価をいただいています。

┃1.がんと免疫療法

がんは、細胞の遺伝子異常によって、生まれた悪性の細胞です。人間は生命を維持するために細胞分裂を繰り返しています。正常な細胞は必要に応じて分裂したり、分裂の停止をするほか、細胞にも寿命があるため、細胞分裂によって際限なく増え続けることはありません。

しかし、がん細胞は違います。がん細胞は、細胞分裂時に起きた遺伝子のコピーミスによって発現します。そうして、停止命令を無視して無制限に増殖し続けることが特徴です。分裂、増殖だけでなく、周囲の組織へ侵入したり、血管やリンパ管を通って移動することもあります。

免疫療法は、私たちが本来持っている免疫の力を活用した治療法です。白血球をはじめ、ウイルスや異物を攻撃する免疫細胞には様々な種類がありますが、がんの免疫療法にはT細胞と呼ばれる細胞が主な役割を果たします。

T細胞にはがん細胞を攻撃する性質があり、がん撃退において、重要な存在です。しかし、T細胞が弱まったり、がん細胞が免疫を抑制する指令をT細胞に出して、免疫にブレーキがかかってしまったりしてしまうと、免疫ががん細胞を排除しきれないことも。そのため、治療に免疫を活用する際には、免疫細胞を体外に取り出し、活性化、増殖させて体内に戻すことで、免疫力を高めて疾患への攻撃力を強化します。

┃2.6種複合免疫療法とは

「6種複合免疫療法」は、がん免疫療法の1つで患者さん自身の血液を採取し、そこから免疫細胞を取り出して、増殖、活性化させた後、身体に戻して、がんを排除する力を増強させる治療方法。それぞれ役割が異なる6種類の免疫細胞が1つのチームとなって働くことで、より高い効果を目指します。元々体内にあった免疫細胞を使うので、拒絶反応などの副作用が少ないのが特徴です。

ここでは、6種複合免疫療法で活躍する6つの免疫細胞について解説します。

<キラーT細胞>

体内の異常な細胞や感染細胞を特定して攻撃する細胞です。ただし、キラーT細胞の攻撃対象となるのは、標的細胞表面の「MHCクラスI」という分子に乗せられた異物のサインである「抗原ペプチド」がある細胞。しかし、がん細胞は進化し、MHCクラスIを減らしたり、隠したりする能力を身に着けるので、キラーT細胞だけでは、全てのがん細胞の排除することはできません。

<NK細胞>

NK(ナチュラルキラー)細胞は、常に身体をパトロールしている免疫細胞で、がんを見つけると直ちに攻撃を開始し、破壊します。またMHCクラスIといった攻撃対象となる目印を持っているもの、隠しているもの関係なく、がん細胞を見つけ出すことができますが、時に取り逃がしてしまうこともあります。

<NKT細胞>

NK(ナチュラルキラー)T細胞は、「キラーT細胞」と「NK細胞」両方の性質を持つ新しいタイプのリンパ球です。攻撃対象となる目印を隠しているがん細胞を見つけ出し、直接攻撃・破壊することができます。また近年では、抗がん剤や放射線で傷害を受けた細胞や組織の修復もできるということがわかってきました。

<γδT細胞>

γδ(ガンマ・デルタ)T細胞は、強力な抗腫瘍作用を持つ免疫細胞。血液や粘膜組織に存在するリンパ球の一種で、攻撃の目印を隠しているがん細胞も排除することができます。

<樹状細胞>

全身の組織に存在する免疫細胞。体内に侵入したウイルスやがん細胞などの異物を取り込んで処理し、その情報をヘルパーT細胞に共有することで、免疫反応が起こる起点となる細胞です。

<ヘルパーT細胞>

ヘルパーT細胞は、免疫の司令塔と言われる細胞。樹状細胞から異物の情報を受け取ると、免疫活性化物質を放出して、キラーT細胞やNK細胞などの実行部隊に、攻撃の指示を出します。

┃3.6種複合免疫療法の特徴

6種複合免疫療法の特徴について、4つにまとめました。

<がんの三大標準療法と併用が可能>

6種複合免疫療法は、がんの三大標準療法とされている「外科手術」「化学療法」「放射線治療」との併用が可能な治療方法です。また手術後に残ったがん細胞にも対応できるので、がんの増殖を抑制し、再発や転移のリスクを引き下げる効果が期待できます。

<副作用が少ない>

患者さんご自身の免疫細胞を使うため、身体への負担が少なく、副作用が少ないのが特徴です。また、他の治療は継続困難と判断された際にも、免疫療法であれば治療を継続できる可能性があります。

<細胞培養は厚生労働省の許可を受けた施設で>

当院では、免疫細胞の培養を厚生労働省の許可を受けた施設である「同仁培養センター(施設番号:FA7200001)」で行っています。

<通院で受けられる>

6種複合免疫療法は点滴投与で行われるので、外来で取り組むことができます。そのためスケジュールが組みやすいのが特徴です。点滴投与の所要時間は20分~30分となります。

┃4.治療スケジュールと基本的な流れ

基本的に6回を1クールとして、約4.5ヶ月かけて治療を行います。また、PET-CT、CT、MRI検査、腫瘍マーカーの測定や血液検査などを受けた場合は、その結果を提携医療機関に伝える必要があります。

<①受診前の準備>

受診を希望される方は、以下のものをご用意ください。

  • 診療情報提供書
  • 査資料(最近撮られたレントゲン、PET-CT、CT、MRI、PETのフィルム/データ)
  • 血液検査データ
  • 印鑑(治療を受けられる際には同意書が必要なため)

<②受診・カウンセリング>

カウンセリングなどから、現在の状況をお伺いします。治療の説明などを受けて、治療を始める場合は、同意書に捺印をしていただきます。

<③治療開始>

治療は、採血、培養、点滴投与6回を1クールとして設定しています。1クールの所要時間は約4.5ヶ月で、点滴投与は3週間に1回行います。

【③-1 採血】
免疫細胞を培養するために、採血を行います。

【③-2 培養】
採られた血は、厚生労働省の許可を受けた施設に送られます。そこでは子血液から免疫細胞を分離し、3週間かけて培養されます。

【③-3 点滴投与】
培養した免疫細胞を、点滴で体内に戻します。1回の点滴時間は20~30分程度です。

┃5.6種複合免疫療法の注意点

6種複合免疫療法の注意点をまとめました。

  • 稀に投与後、⼀過性の発熱等がみられることがあります
  • 効果には個人差があります
  • 患者さんの免疫力の低下が著しい場合は、1クールの治療でも効果が見られないことがあります
  • 保険適応外の自費治療です
  • T細胞・NK細胞・NKT細胞型白血病、T細胞・NK細胞・NKT細胞型悪性リンパ腫は治療対象の適応外です

┃6.まとめ

がんの免疫療法は、ステージ4の患者さんでも対応可能な治療方法です。また再発防止にも効果的だとされています。もしも興味がありましたら、お気軽にご相談ください。

6種複合免疫療法

┃YouTubeでも医療知識を紹介しています

今回の内容はYouTubeでも田中院長がお話ししています。そのほかにも様々ありますので、ぜひご覧ください。



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