
医療費控除は、1年間にかかった医療費が一定額を超えた場合に税負担を軽くできる制度です。
自由診療の治療費も医療費控除できる場合がありますが、治療内容によっては対象外となることもあります。また、控除を受けるには確定申告が必要となるため、期限や必要書類などの事前確認も重要です。
そこで今回は、自由診療の治療費が医療費控除の対象になるかどうかを判断する目安や、実際の確定申告の流れを解説します。
<コラム監修者>

田中聡(たなか さとし)
表参道総合医療クリニック院長
大阪医科大学医学部卒業。救急車搬送が日本で一番多い「湘南鎌倉総合病院」や「NTT東日本関東病院」にて脳神経外科医として脊椎・脊髄疾患、脳疾患、がん患者の治療に従事。その後、稲波脊椎関節病院で脊椎内視鏡、森山記念病院で脳・下垂体の内視鏡の経験。様々な患者様を診療するようになりました。しかし、脳出血や脳梗塞の方は、手術をしても脳機能自体は回復しないため、麻痺は改善しません。また腰痛が改善しなかったり、手術後も痛みやしびれが残る後遺症に悩まされている患者様を見てきて、「現代の医療では解決できない問題を治療したい」と表参道総合医療クリニックを開院しました。開院後、多数の腰痛日帰り手術や、再生医療などを行い、多方面から高い評価をいただいています。
◆目次
1.医療費控除とは?どんな治療が対象になる?
2.医療費控除の対象になる自由診療の例
3.確定申告の流れと必要事項
4.当院の日帰り腰痛手術と再生医療も医療費控除の対象
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┃1.医療費控除とは?どんな治療が対象になる?
医療費控除は、1月1日から12月31日までの1年間に支払った医療費が一定額を超えたときに、所得控除を受けられる制度です。
基本的に、本人および生計を一にする家族の医療費の合計が10万円を超える場合に医療費控除ができます。ただし、総所得金額等が200万円未満の場合、10万円ではなく所得の5%が基準となります。
控除額は、支払った医療費の合計から保険金などで補填された金額を差し引き、さらに10万円または所得の5%を差し引いた金額です。控除の上限は200万円です。
<自由診療でも医療費控除の対象になる>
医療費控除の対象になるかどうかは、保険適用の有無ではなく、治療の目的や必要性によって判断されます。
たとえば、病気やケガの治療、機能回復などを目的とした治療費なら、自由診療でも医療費控除の対象になる場合があります。一方で、医療機関で提供する診療でも、美容目的の施術や健康増進・予防を目的としたビタミン剤など、対象外の医療費もあります。
また、公共交通機関を利用した通院費など、診療を受けるために直接必要な費用は医療費に含められます。ただし、治療費以外に渡した医師への謝礼、自家用車のガソリン代などは控除対象外です。
┃2.医療費控除の対象になる自由診療の例
医療費控除の対象になるのは、原則として病気・ケガの診療や治療のためにかかった費用です。美容や予防を目的とする施術は、たとえ医療機関で行われたものであっても基本的には対象外です。
<控除対象になる自由診療の例>
- 日帰り腰痛手術(PEL、PEDなど)
- 腰痛や関節痛緩和を目的とする再生医療(幹細胞治療、PRP療法など)
- 口腔機能改善を目的とする歯列矯正
- 視力改善を目的とした手術(レーシック、ICLなど)
<控除対象にならない自由診療の例>
- 美容整形手術(シミ取りレーザー、二重形成など)
- 美容目的の再生医療(PRP療法、エクソソーム療法など)
- 容ぼう改善目的の歯列矯正
- 健康診断・人間ドック
┃3.確定申告の流れと必要事項
医療費控除を受けるためには、確定申告を行う必要があります。確定申告に向けて準備するものと、具体的な申請の流れについてご説明します。
<準備するもの>
- 確定申告書(紙の申請書に記入するほか、パソコンやスマホでも作成可能)
- マイナンバーカード
- マイナンバーカード読み取り対応のスマートフォン
- 源泉徴収票
- 医療費の領収書
医療費の領収書を、申告時に提出する必要はありません。ただし、税務署から求められた場合に提示できるよう、5年間は保存しておく必要があります。
<確定申告の流れ>
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用して、パソコンやスマホから申請する手順を解説します。
- ①「確定申告書等作成コーナー」にアクセスする
- ②「作成開始」ボタンを押し、所得額などを入力する
- ③医療費を入力する
- ④画面の案内に従って申請する
マイナポータルで事前に登録しておけば、保険診療分の医療費を自動取得できます。手入力する手間を省けるため、活用するとよいでしょう。
また、マイナンバーカード本体および電子証明書には、それぞれ有効期限があります。申告時に慌てないよう、事前に確認しておくことが重要です。
なお、紙で確定申告書を作成する方法もあります。税務署で用紙を入手するか、国税庁ホームページからダウンロードして印刷するとよいでしょう。
┃4.当院の日帰り腰痛手術と再生医療も医療費控除の対象
当院では、日帰り手術と再生医療を組み合わせた自由診療による腰痛治療を行っています。いずれも、医療費控除の対象となります。
<PEL>
PELは全ての手術操作を内視鏡下で行う手術です。体を大きく傷つけずに脊椎内部の奥深いところを観察し、神経の圧迫を取り除きます。局所麻酔で行えるため、高齢の方や持病のある方など全身麻酔下の手術が受けられない方にとってもメリットの大きい手術です。
対象疾患:脊柱管狭窄症、すべり症など
<PLDD>
PLDDは、レーザーを椎間板の髄核に照射して椎間板を縮小し、神経の圧迫を軽減する治療です。施術に要する時間は1か所あたり15~30分程度で、院内の滞在時間も数時間程度で済むため、日帰りでの手術が可能です。
対象疾患:椎間板ヘルニア
<PDR>
PDRは経皮的椎間板再生治療ともいいます。患者さんの血液を採取し、濃縮血小板由来の成長因子(PRP)を抽出。PRPと幹細胞上清液を患部に注入し、透視装置を使って損傷した椎間板に成長因子と幹細胞上清液を投与します。PLDDと併用することも可能で、日帰りで手術を受けることができます。
対象疾患:椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など
<PED>
PEDは、経皮的内視鏡下椎間板摘出術とも呼ばれる手術です。細い内視鏡を使って行うため、低侵襲なのが特徴。日帰りで受けることができ、術後の生活への影響も少ないとされています。
対象疾患:椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など
<ディスクフロー治療>
傷を塞ぐ接着剤のような役割を持つ「フィブリン」という物質を患者さんの血液から生成し、椎間板の亀裂を封鎖する治療です。ご自身の血液からつくる自己フィブリンなので、アレルギーや拒絶反応、感染などのリスクを抑えられます。
対象疾患:椎間板ヘルニアなど
<SAST>
患者さん自身の脂肪から幹細胞を取り出して培養し、椎間板、頚椎、腰椎などに移植する治療法です。幹細胞には傷ついた組織を再生する働きがあり、損傷した椎間板や脊椎の修復を促して腰痛の改善を図ります。
対象疾患:椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、椎間板変性症、すべり症など
<PRP療法(多血小板血漿)>
PRP療法(多血小板血漿療法)は、患者さん自身の血液から血小板を抽出・濃縮し、患部に注射する治療法です。血小板にはさまざまな成長因子が含まれており、組織の修復を促す効果が期待できます。
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