
うつ病と腰痛は密接に関係しています。腰痛はストレスから引き起こされることが、科学的に証明されています。また腰痛による慢性的なストレスが、うつ病の原因の1つになってしまうことも。ここではうつ病と腰痛について詳しく解説します。
<コラム監修者>

田中聡(たなか さとし)
表参道総合医療クリニック院長
大阪医科大学医学部卒業。救急車搬送が日本で一番多い「湘南鎌倉総合病院」や「NTT東日本関東病院」にて脳神経外科医として脊椎・脊髄疾患、脳疾患、がん患者の治療に従事。その後、稲波脊椎関節病院で脊椎内視鏡、森山記念病院で脳・下垂体の内視鏡の経験。様々な患者様を診療するようになりました。しかし、脳出血や脳梗塞の方は、手術をしても脳機能自体は回復しないため、麻痺は改善しません。また腰痛が改善しなかったり、手術後も痛みやしびれが残る後遺症に悩まされている患者様を見てきて、「現代の医療では解決できない問題を治療したい」と表参道総合医療クリニックを開院しました。開院後、多数の腰痛日帰り手術や、再生医療などを行い、多方面から高い評価をいただいています。
┃1.腰痛とストレスの関係性
人間はストレスを感じると、筋系や神経系に異常がないのに痛みが起こってしまうことがあります。これはストレスによって、脳機能に異常が起きて、痛みを抑制する機能が低下してしまうからと科学的に証明されています。
このほか、ストレスは交感神経を優位にさせるので、血管が収縮してしまいます。その結果、血流が悪くなり、筋肉のこわばりを引き起こします。慢性的な筋肉のこわばりは、痛みを引き起こす原因にもなります。
┃2.うつ病による腰痛
うつ病患者の多くが慢性的な腰痛を抱えていると言われています。実際、うつ病患者はストレスや不安が、身体の痛みとして現れることが少なくありません。この現象を「身体化症状」といい、腰痛もよく見られる一例として知られています。
また、慢性的な腰痛が、うつ病を引き起こすという場合もあります。痛みは、日常生活のすべてに関わってくるため、知らず知らずの間にストレスを感じ、精神的な負担がかかることに。この状態が長期的に継続すると、活動や行動が制限されてしまい、自分が思ったように動けなくなることから、社会的な孤立を強く感じてしまうことがあります。
そのほか、痛みがいつまで続くかわからない不安や、腰痛による仕事への影響を心配するなどもうつ病を発症させるリスクを高める可能性があるとされています。
<うつ病とは>
うつ病は気分が大幅に低下してしまう脳の病気です。興味や意欲を喪失したり、不眠症に陥ったりするほか、夜寝られなくなる、日常に支障が出るほどの身体の疲労感が続く、だるさ、頭痛、肩こり、腰痛などの症状が現れます。
また感情や表情が表に出にくくなり、無気力になっていくのも特徴。集中力や判断力が低下し、周りから見るとぼーっとしている時間が増えるようになってしまうこともあります。
この病気には脳機能が大きく関連しています。ストレスなどで負荷がかかることによって、気分や意欲を調整する役割を果たすセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンといった脳内の神経伝達物質が不足し、バランスが崩れてしまいます。そのほか機能低下や、炎症、機能や構造変化などが起きてしまうことが分かっています。
原因は、一概に「これ」と言えるものはありません。長期間のストレスや、身体の疲労、遺伝子的な要因、幼少期のトラウマなど複数の要素が複雑に絡み合い、脳の働きが限界を越えたときに発症するとされています。
┃3.うつ病による腰痛の対処法
うつ病が原因とされる腰痛は、脳の痛み抑制機能がストレスで低下し、血流が悪化して発生するため、精神と身体の両面からアプローチしなければいけません。
<薬物療法>
うつ病による腰痛は、痛み止めが効かない場合がほとんどです。ただし、うつ病の治療で使われる抗うつ薬・抗不安薬を服用すると、神経伝達物質のバランスが整ったり、痛みの抑制機能の異常が回復したりするので、腰痛が緩和するケースが多く見られます。
<心理療法>
痛みの原因となっているストレスに対してアプローチする治療法です。特に近年、効果的だとされているのが「認知行動療法」という精神治療の手法の1つ。ストレスの元となる考え方と行動の両面に働きかける治療法で、セラピストとの対話の中で、患者自身は考え方の癖や、偏りに気づき、それを修正する練習を行います。そうすることでネガティブな気持ちから抜け出しやすくしてくれます。
<運動療法>
痛覚変調性疼痛は、ストレスによって自律神経が乱れて血流が悪くなったり、筋肉がこわばったりしているケースが多く見られます。そのため、ウォーキングやストレッチ、ヨガなどの運動を取り入れ、自律神経を整えるほか、血行を促進させる運動が効果的だとされています。
┃4.うつ病による腰痛治療の注意点
うつ病による腰痛治療は、「筋肉や骨などに異常がない」ということが大前提。もしも椎間板ヘルニアや、脊柱管の狭窄があって、神経を圧迫しているなどがあれば、それが腰痛の根本的な原因である可能性が高いです。
そのため、腰痛がある場合はまず整形外科や腰痛専門のクリニックの診療を受けるようにしましょう。もしも疾患が見つかった場合は、症状にあわせて治療を進めていきます。
当院では、日帰りの腰痛手術を行っています。ここでいくつかご紹介します。
<経皮的レーザー椎間板減圧術(PLDD)>
レーザーを椎間板内の髄核に照射して縮小させ、神経の圧迫を軽減する治療法です。施術に要する時間は一箇所あたり15〜30分程度と短時間なので、日帰りが可能。1mm程度の穴から治療できるため、術後の出血や痛みが抑えられることも特徴です。
<経皮的内視鏡下椎間板摘出術(PED)>
内視鏡を使用して椎間板を摘出する手術です。切開幅は約7mmと、細い内視鏡を使って手術を行うため患者さんの身体への負担を抑えられるのが特徴。レーザー治療では対応が難しい重症例にも効果が期待できます。手術時間は1〜2時間程度で、日帰りが可能です。
<経皮的椎間板再生治療(PDR)>
損傷した椎間板の再生を促す治療方法です。患者様の血液から濃縮血小板由来の成長因子を抽出し、幹細胞上清液とともに損傷した椎間板に投与。組織を修復する働きを持つ成分が、椎間板を再生します。PLDDと併用することも可能です。
<PEL(脊柱管狭窄症内視鏡下手術)>
低侵襲手術であるPEL(脊柱管狭窄症内視鏡下手術)は7〜8mmの小さな切開で済み、日帰り手術が可能です。切開を伴う除圧術や固定術では全身麻酔が必要ですが、内視鏡下で行うPELは局所麻酔で神経の圧迫を取り除けます。早期に社会復帰したい方や、持病や年齢により全身麻酔下の手術が受けられない方にとって、特に利点の大きい手術です。
<ディスクフロー治療>
傷を塞ぐ接着剤のような役割を持つ「フィブリン」という物質を患者さんの血液から生成し、椎間板の亀裂を封鎖する治療です。ご自身の血液からつくる自己フィブリンなので、アレルギーや拒絶反応、感染などのリスクを抑えられます。
┃5.まとめ
当院は腰痛に特化したクリニックとして、様々な患者様の腰痛改善に向き合ってきました。心因性だと診断するためには、確実に骨や筋肉の異常による腰痛疾患ではないと証明しなければいけません。もしも慢性的な腰痛に悩まされている方は、まずは専門機関に相談し、しっかりとした診断を受けましょう。当院でも検査をすることが可能です。もしも気になった方は、お気軽にご相談ください。
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