院長ブログ

2026.02.06

再生医療で使われる「幹細胞」を培養するCPCとは?厚生労働省が定める厳しい管理基準など解説

再生医療を行うには、細胞の培養が必要不可欠です。多くの場合は、患者さんから採血などで、元の細胞を摂取した後、専門の培養施設で治療に使われる細胞培養が行われます。ここでは、細胞がどのように、どんなところで培養されるのか、具体的に解説します。

<コラム監修者>

田中聡院長

田中聡(たなか さとし)

表参道総合医療クリニック院長


大阪医科大学医学部卒業。救急車搬送が日本で一番多い「湘南鎌倉総合病院」や「NTT東日本関東病院」にて脳神経外科医として脊椎・脊髄疾患、脳疾患、がん患者の治療に従事。その後、稲波脊椎関節病院で脊椎内視鏡、森山記念病院で脳・下垂体の内視鏡の経験。様々な患者様を診療するようになりました。しかし、脳出血や脳梗塞の方は、手術をしても脳機能自体は回復しないため、麻痺は改善しません。また腰痛が改善しなかったり、手術後も痛みやしびれが残る後遺症に悩まされている患者様を見てきて、「現代の医療では解決できない問題を治療したい」と表参道総合医療クリニックを開院しました。開院後、多数の腰痛日帰り手術や、再生医療などを行い、多方面から高い評価をいただいています。

┃1.再生医療で使われる幹細胞とは

再生医療の1つで、患者さん自身の細胞を採取して治療を行う「幹細胞治療」。人間が元々持っている再生能力を活かした治療方法で、これまで治療できなかった疾患にも、根本的にアプローチできる可能性を秘めています。

幹細胞治療に使われる「幹細胞」は、多くの場合、患者さん自身から採取します。採取した細胞から、幹細胞のみを抽出し、培養して数を増やした後、それを患者さんの体内に戻します。

<幹細胞とは>

幹細胞は身体の修復や再生が必要なときに自ら細胞分裂を行い、傷ついたり不足した細胞の代わりとなる細胞です。中でも自分と同じ細胞を作る「自己複製能」と、特定の細胞に変化する「分化能」の2つを持ち合わせた「体性幹細胞」が再生医療には多く活用されています。

幹細胞の採取は、体性幹細胞の代表的な種類「間葉系幹細胞(MSC)」が多く存在する骨髄や脂肪、歯髄、へその緒、胎盤などから行われます。

┃2.再生医療で使う幹細胞はどこで作られるの?

再生医療で使う幹細胞は、患者さんから採取した後、専門の培養施設に送られて培養されます。

脂肪由来の幹細胞を使用する場合、まずクリニックで患者さんの主に腹部や太もも、お尻の皮下脂肪から取り出します。局所麻酔をした後、吸引法で小指の先程度の1~3グラムを採取。傷は7㎜程度です。

採取された脂肪細胞は、細胞培養加工施設(CPC:Cell Processing Center)に送られます。

<CPCとは>

CPCとは、再生医療に使う細胞を培養、加工するためのクリーンルームを擁した施設です。日本では、この施設を運営する際には「再生医療等安全性確保法」に基づいて、厚生労働大臣への届け出が必要と定められています。

┃3.厚生労働省が定めるCPCの管理体制に関して

厚生労働省は、施設の運用に厳しい管理体制を定めています。

細胞で扱うときに、一番気を付けなければいけないのはウイルスやカビといった微生物による汚染です。CPCでは、空間の清浄度はAからDまでグレード分けされ、徹底的に管理されています。最も清潔なエリアはAとされており、作業内容に応じてエリアが区切られているのも特徴です。

また人による汚染などが起きないよう、施設によって、手洗い設備や消毒液などの適切な場所への配置、使用ルールの徹底を行っているほか、人の導線を一方通行にして汚染が起きないようにしたり、いつ誰が入退室したのか記録を取るなどしているところもあります。

<施行規則の一例>

【第89条(細胞培養加工施設の構造設備)記載内容要約】

  • 特定細胞加工物・原料・資材の混同防止、汚染防止等に配慮した構造設備
  • 衛生設備(更衣を行う区域等)の設置
  • 原料の受入れ区域、特定細胞加工物の保管区域、製造区域の区分等
  • 作業所(製造作業を行う場所)、作業室の要件
  • 「清浄度管理区域」(※1)、「無菌操作等区域」の要件(※2)
  • 空気処理システム
  • 試験検査の設備・器具(異物検査、理化学試験、無菌試験等) など


※1清浄度管理区域:作業所のうち、特定細胞加工物等(無菌操作により取り扱う必要のあるものを除く)の調製作業を行う場所及び滅菌される前の容器等が作業所内の空気に触れる場所
※2無菌操作等区域:作業所のうち、無菌操作により取り扱う必要がある特定細胞加工物等の調製作業を行う場所、滅菌された容器等が作業所内の空気に触れる場所及び無菌試験等の無菌操作を行う場所

【引用元】再生医療等の安全性確保等に関する法律(再生医療新法)説明会

┃4.幹細胞培養の流れ

当院で行っている幹細胞治療の流れを紹介します。幹細胞治療を行う際には、主に下記のような流れで治療を進めていきます。

<①カウンセリング>

事前に服薬情報やMRI画像などをご用意していただいた上で、医師がカウンセリングを行います。体調や既往歴、服薬中の薬、リハビリ状況などを伺います。

<②検査>

感染症の有無を調べるための血液検査や、胸部のレントゲン検査、心電図検査などを行います。

<③脂肪採取>

腹部からごく少量の脂肪を採取します。入院などは不要な場合がほとんどです。

<④幹細胞の培養>

採取した脂肪細胞をCPCに送り、脂肪細胞から幹細胞を分離、培養します。培養には約3週間~6週間を要します。

<⑤幹細胞の静脈内投与、局所投与>

培養した幹細胞を点滴、局所に投与します。投与方法は対応する疾患やお悩み、患者さんの身体の状況などに応じて臨機応変に対応します。

<⑥経過観察>

その後の効果について定期的に経過観察を行います。

<費用>

項目 費用
医師による診察・カウンセリング 11,000円
感染症検査(採血) 11,000円
幹細胞点滴(1億個) 1,650,000円

┃5.まとめ

幹細胞治療を安全に受けていただくため、様々な医療機関が厳重な管理のもと細胞培養に取り組んでいます。幹細胞治療について気になることがあれば、お気軽にご相談ください。

幹細胞治療

┃YouTubeでも医療知識を紹介しています

今回の内容はYouTubeでも田中院長がお話ししています。そのほかにも様々ありますので、ぜひご覧ください。



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