院長ブログ

2026.01.31

PRPに白血球を加えた「GPSⅢ」とは? 自己修復機能を使った再生医療について解説

近年、医療の研究が進み、再生医療の注目が高まっています。そのなかでも、幅広い治療に使われているのが‘PRPという自己修復機能を活用した治療方法。PRPにも様々な種類があります。今回は、PRPに白血球を加えたGPSⅢについて解説します。

<コラム監修者>

田中聡院長

田中聡(たなか さとし)

表参道総合医療クリニック院長


大阪医科大学医学部卒業。救急車搬送が日本で一番多い「湘南鎌倉総合病院」や「NTT東日本関東病院」にて脳神経外科医として脊椎・脊髄疾患、脳疾患、がん患者の治療に従事。その後、稲波脊椎関節病院で脊椎内視鏡、森山記念病院で脳・下垂体の内視鏡の経験。様々な患者様を診療するようになりました。しかし、脳出血や脳梗塞の方は、手術をしても脳機能自体は回復しないため、麻痺は改善しません。また腰痛が改善しなかったり、手術後も痛みやしびれが残る後遺症に悩まされている患者様を見てきて、「現代の医療では解決できない問題を治療したい」と表参道総合医療クリニックを開院しました。開院後、多数の腰痛日帰り手術や、再生医療などを行い、多方面から高い評価をいただいています。

┃1.GPSⅢとは

血小板には、周りの細胞に働きかけて組織の修復を促す能力があります。この作用を利用したのが、患者さん自身の血液を使って行う「PRP療法」です。PRP(多血小板血漿)は、採血を行った後、採取した血液から血小板を抽出・濃縮したもので、これを患部に注射して損傷した組織の修復を促します。

また炎症抑制効果も期待できるので、痛みの軽減にも作用します。これまで修復が不可能だとされていた、神経損傷、軟骨、椎間板といった組織にも働きかけるということが証明されており、様々な場面で使用されています。

GPSⅢとは、ジンマー・バイオメット社の専用キットを用いて、自身の血液から組織修復に有効な血小板や白血球(成長因子)を高濃度に抽出した再生医療。PRPに白血球を加えた「LR-PRP(Leukocyte Rich-PRP:高白血球多血小板血漿)」を作製します。

一般的に、血小板と白血球の数が多ければ多いほど、組織修復促進効果が期待できるといわれており、GPSⅢシステムで作製されたLP-PRPは、濃縮前の全血中濃度と比べて、血小板は6〜9倍、白血球は3〜6倍まで増加します。

高い炎症抑制効果と6〜12ヶ月程度の持続性が期待できるので、主にスポーツ外傷や変形性関節症の治療に用いられています。

┃2.GPSⅢに効果的な疾患は?

GPSⅢは用途の広さから、幅広い疾患に使われています。

<関節疾患>

  • 変形性膝関節症
  • 変形性股関節症
  • 膝関節軟骨損傷
  • 足関節・肘関節の変形性関節症

<スポーツ外傷>

  • テニス肘(上腕骨外側上顆炎)
  • ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)
  • アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎
  • ジャンパー膝(膝蓋腱炎)
  • 靭帯損傷
  • 腱付着部炎

<当院のPRP療法>

当院は腰痛治療にPRP療法を活用しています。

椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の手術をしたときに、痛みの原因となっている神経損傷の修復効果を狙ってPRP療法も実施することがあります。当院では髄核にPRPを注入するため、患部に直接アプローチすることができます。

【PRP療法(多血小板血漿療法)】
PRP療法は、患者さんの血液から血小板を抽出・濃縮し、患部に注射する治療法です。血小板にはさまざまな成長因子が含まれており、組織の修復を促す効果が期待できます。単独で行うほか、PELと組み合わせることで傷ついた神経の修復を助け、より早期の症状改善を見込めます。

費用:1ヶ所550,000円

副作用・リスク:注射部位の一時的な腫れや痛み、感染など

【SAST法(脊椎幹細胞移植術)】
患者さんの脂肪から幹細胞を取り出して培養し、椎間板や腰椎などに移植する治療法です。幹細胞には傷ついた組織を再生する働きがあるため、症状の改善が見込めます。PRP療法と同様、PELとの組み合わせも可能です。

費用:1回165万円

副作用・リスク:注射部位の一時的な腫れや痛み、感染など

┃3.GPSⅢを使ったPRP療法のメリットと注意点

PRP療法にはさまざまなメリットがありますが、注意点もあります。リスクも押さえた上で、適した治療法を検討しましょう。

<PRP療法のメリット>

  • 自分の血液からPRPを抽出するため、アレルギーや拒絶反応のリスクが低い
  • 手術や入院が不要なので、外来で行うことができる
  • さまざまな疾患に対して効果が期待できる
  • 治療に年齢などの制限がない

<注意点・リスク・限界>

  • 患者自身の再生力を利用した治療法なので、効果の程度や期間には個人差がある
  • 自由診療のため保険が適応されない
  • 新しい治療法のため、長期での体への影響が確認されていない

┃4.治療スケジュールと基本的な流れ

当院では、患者さんお一人おひとりの状態や生活スタイルに合わせ、適切な治療法をご提案します。ここでは、当院のPRP療法の流れと費用を紹介します。

<当院のPRP療法の流れ>

当院では、以下のような流れでPRP療法を行います。

【診察・カウンセリング】

診察や検査で膝の状態を確認し、PRP療法が適しているか判断します。

【採血・PRPの精製】

患者さんの血液を採取し、遠心分離機を用いて血小板を濃縮したPRPを精製します。

【PRPの注射】

患部にPRPを注射します。採血から注射まで30分程度で終わり、その日のうちにご帰宅いただけます。

<費用>

PRP療法は保険適用外(自由診療)です。当院では、以下の費用で腰痛に対するPRP療法を行っています。

【参考】シングル膝(2V):330,000円

┃5.まとめ

PRP療法は、自分自身の血液から抽出した成分を利用して組織の修復を助ける再生医療の一つです。スポーツ外傷をはじめ、腰痛や膝など関節痛など、さまざまな疾患に効果が期待できます。手術を避けたい方や、一般的な治療で十分に症状が改善しない方は、お気軽にご相談ください。

再生医療

┃YouTubeでも医療知識を紹介しています

今回の内容はYouTubeでも田中院長がお話ししています。そのほかにも様々ありますので、ぜひご覧ください。



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