サッカーは激しい接触や急な動作が多く、怪我のリスクが高いスポーツの一つです。長期間プレーを続けるには、怪我の予防や適切な処置が欠かせません。 近年では、手術を避けリハビリ期間の短縮を目指せる再生医療が登場するなど、治療選択肢が広がってきています。そこで今回は、サッカーで起こりやすい怪我の種類や予防法、そして早期の復帰を目指せる再生医療について解説します。
<コラム監修者>

田中聡(たなか さとし)
表参道総合医療クリニック院長
大阪医科大学医学部卒業。救急車搬送が日本で一番多い「湘南鎌倉総合病院」や「NTT東日本関東病院」にて脳神経外科医として脊椎・脊髄疾患、脳疾患、がん患者の治療に従事。その後、稲波脊椎関節病院で脊椎内視鏡、森山記念病院で脳・下垂体の内視鏡の経験。様々な患者様を診療するようになりました。しかし、脳出血や脳梗塞の方は、手術をしても脳機能自体は回復しないため、麻痺は改善しません。また腰痛が改善しなかったり、手術後も痛みやしびれが残る後遺症に悩まされている患者様を見てきて、「現代の医療では解決できない問題を治療したい」と表参道総合医療クリニックを開院しました。開院後、多数の腰痛日帰り手術や、再生医療などを行い、多方面から高い評価をいただいています。
◆目次
1.サッカーで起こりやすい怪我の種類
2.サッカーの怪我を予防するには?
3.応急処置と一般的な治療法
4.サッカーによる怪我からの早期回復を目指す再生医療の選択肢
5.まとめ
YouTubeでも医療知識を紹介しています
┃1.サッカーで起こりやすい怪我の種類
サッカーは走る、蹴るといった動作で下半身を酷使するため、足や膝の怪我が多くなりがちです。ここでは代表的な怪我を紹介します。
<捻挫(ねんざ)>
ジャンプの着地でバランスを崩したり、ドリブルでの切り返し動作を行ったりした際に、足首をひねってしまうことで起こります。軽度の捻挫は靭帯が一時的に伸びている状態ですが、重度の捻挫では靭帯の一部または全部が断裂している場合もあります。「ただの捻挫」と軽く考えず、医療機関で検査を受けましょう。
<肉離れ>
ダッシュやキックで筋肉に急激な負荷がかかり、筋繊維が断裂する怪我です。サッカーの場合、太ももの裏側(ハムストリングス)やふくらはぎに好発します。疲労が蓄積していたり、ウォーミングアップ不足で筋肉が硬い状態だったりすると、肉離れを起こしやすくなります。
<膝の靭帯損傷>
急に方向転換したり停止したりしたときに、膝の靭帯を損傷することがあります。しばらくすると痛みや腫れが引く場合もありますが、放置して自然に完全に回復するケースはまれです。靭帯が緩んだままだと関節が不安定になるリスクもあるため、適切な治療を受けましょう。
<半月板損傷>
膝関節の中でクッションの役割を果たしている半月板が、ターンや着地、相手選手との接触などによる強いひねりで損傷する怪我です。膝の曲げ伸ばしができない、膝を伸ばすと激しく痛むといった症状がある場合は、できるだけ早く整形外科を受診しましょう。
<そのほか>
接触プレーによる打撲や骨折、ヘディングなどで頭を打った際の脳震盪なども注意が必要な怪我です。
突発的な怪我だけでなく、使いすぎ(オーバーユース)による故障もよくみられます。例えば、ゴールキーパーなどのジャンプが多いポジションで起こりやすい「ジャンパー膝(膝蓋腱炎)」、10代前半の成長期に好発する「オスグッド・シュラッター病」などが代表的です。
スポーツ外傷について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
>>スポーツで負った怪我を早く治すことができる再生医療、スポーツ外傷についても詳しく解説
┃2.サッカーの怪我を予防するには?
サッカーによる怪我を未然に防ぎ、コンディションを維持するため、以下のようなポイントに注意しましょう。
- ウォーミングアップとクールダウンの徹底
- 筋力トレーニング
- 適切なフォームの確認
- 休息と栄養管理
筋肉が冷えて硬い状態のままプレーをすると、怪我のリスクが高まります。練習や試合の前には必ず入念なウォーミングアップを行い、終了後はストレッチやアイシングなどのクールダウンで疲労を残さないようにしましょう。
衝突や転倒などのアクシデントが起こっても怪我をしにくい体づくりを行うことも重要です。オーバートレーニングにならないよう、適切な休息と栄養補給を行って体を管理しましょう。
┃3.応急処置と一般的な治療法
怪我をしてしまった場合、受傷直後の対応が回復期間を左右する場合があります。スポーツ外傷の基本的な応急処置は「RICE処置」と呼ばれています。
【RICE処置】
- Rest(安静):患部を無理に動かさず、安静を保って損傷の広がりを防ぎます。
- Icing(冷却):氷嚢などで患部を冷やし、内出血や腫れ、炎症を抑えます。
- Compression(圧迫):弾性包帯やテーピングパッドなどを使い、患部を適度に圧迫して腫れや内出血を抑えます。
- Elevation(挙上):患部を心臓より高い位置に保って血液の滞留を防ぎ、腫れを軽減させます。
応急処置を行った後は、速やかに医療機関を受診して検査を受けましょう。軽度〜中等度の怪我であれば、ギプスやサポーターで患部を固定・保護し、必要に応じて痛み止めや湿布を使用しながら自然治癒を待つ保存療法を行うのが一般的です。
一方、靭帯の完全な断裂や骨折など、保存療法では機能回復が難しいと判断された場合には手術を検討します。手術を選択した場合、術後の経過にもよりますが、競技に復帰するまで数ヶ月~1年程度のリハビリテーションが必要になるケースもあります。
┃4.サッカーによる怪我からの早期回復を目指す再生医療の選択肢
「大会が控えているので、できるだけ早く復帰したい」「手術による長期離脱は避けたい」といった希望に応えるための新しい選択肢として、近年注目されているのが再生医療です。再生医療では、自身の再生力を利用して損傷した組織の回復を促します。注射で治療できるため、長期間の入院やリハビリテーションを避けて早期復帰を目指せる点もポイントです。
当院では「幹細胞治療」「PRP療法」といった再生医療に対応しています。再生医療は、スポーツ外傷だけでなく変形性膝関節症などの関節疾患に対しても効果が期待できます。
<PRP療法>
PRP療法は、患者さん自身の血液から血小板や成長因子を多く含むPRP(多血小板血漿)を膝に注射する治療です。血小板や成長因子には、炎症を抑え損傷した組織の修復を助ける働きがあります。PRPをフリーズドライ加工して半年間の保存ができ成長因子の含有量も多い「PFC-FD」にも対応しています。
- 副作用:副作用注射部位の一時的な腫れや痛み、感染など
- 料金:シングル膝(2V)330,000円、ダブル膝(4V)550,000円(税込)
<幹細胞治療>
幹細胞治療は、患者さんの脂肪を採取して幹細胞を培養し、膝に注射する治療です。幹細胞にはさまざまな働きを持つ細胞に分化する力があり、患部に注入することで軟骨などの組織の修復が期待できます。
- 副作用:脂肪採取部位・注射部位の腫れや痛み、感染
- 料金:片側1部位:1部位(片側)1,650,000円、2部位(両側)2,200,000円(税込)
膝の痛みに対する再生医療について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
>>膝の痛みは手術しないで治せる?変形性膝関節症や半月板損傷の新しい治療選択肢
※効果には個人差があります
※再生医療は新しい治療法であるため、長期的な体への影響が確認されていません
┃5.まとめ
サッカーによる怪我を放置して無理にプレーを続けると、大きな障害につながることもあります。痛みや違和感がある場合は、すみやかに適切な診断と治療を受けましょう。
治療法には、従来の保存療法や手術療法に加え、組織の修復を促して早期回復を目指す再生医療の選択肢もあります。当院では「できるだけ早く競技に復帰したい」「手術は避けたい」といった患者さんのご希望に寄り添い、一人ひとりに適した治療法をご提案いたします。
【関連記事】
・膝の痛みは手術しないで治せる?変形性膝関節症や半月板損傷の新しい治療選択肢
・膝の痛みに対するPRP療法の効果とは?メリット・注意点・当院での費用も解説
・スポーツで負った怪我を早く治すことができる再生医療、スポーツ外傷についても詳しく解説
┃YouTubeでも医療知識を紹介しています
今回の内容はYouTubeでも田中院長がお話ししています。そのほかにも様々ありますので、ぜひご覧ください。



東京メトロ
クリニック前にパーキング