
がんの治療法には、三大治療である手術・薬物療法・放射線療法以外にもさまざまな種類があります。中でも温熱療法は副作用を抑えやすく、高齢の方やがん以外の病気がある方にも施行できる可能性がある方法として注目されています。
そこで今回は、がん温熱療法の仕組みややり方、メリット・デメリット、そして当院で行うがん治療の種類について解説します。
<コラム監修者>

田中聡(たなか さとし)
表参道総合医療クリニック院長
大阪医科大学医学部卒業。救急車搬送が日本で一番多い「湘南鎌倉総合病院」や「NTT東日本関東病院」にて脳神経外科医として脊椎・脊髄疾患、脳疾患、がん患者の治療に従事。その後、稲波脊椎関節病院で脊椎内視鏡、森山記念病院で脳・下垂体の内視鏡の経験。様々な患者様を診療するようになりました。しかし、脳出血や脳梗塞の方は、手術をしても脳機能自体は回復しないため、麻痺は改善しません。また腰痛が改善しなかったり、手術後も痛みやしびれが残る後遺症に悩まされている患者様を見てきて、「現代の医療では解決できない問題を治療したい」と表参道総合医療クリニックを開院しました。開院後、多数の腰痛日帰り手術や、再生医療などを行い、多方面から高い評価をいただいています。
┃1.がん温熱療法とは
温熱療法は、がん細胞に熱を与えて腫瘍の縮小を目指す治療法です。
細胞が死滅を始める温度は42.5℃以上です。
通常の細胞は血流を増やして温度上昇を抑えますが、がん細胞は血流が乏しいため温度が上がりやすい特徴があります。
この熱に弱い性質を利用し、患部を温めてがんの縮小を目指すのが温熱療法です。
また、温度が上昇すると免疫が活性化し、がん細胞への攻撃力が高まることも知られています。さらに薬物療法や放射線療法の効果を高める作用も期待できるため、単独ではなく組み合わせて治療を行うケースもあります。
┃2.がん温熱療法のやり方
がん温熱療法では、皮膚の上から高周波や電磁波などを照射し、がんのある部位を集中的に加温します。
乳がん、頭頸部がん、皮膚がんなどは体表面に近いため、特に効果が得られやすいがんです。現在では、子宮頸がんや直腸がんなど、ある程度深い部位であっても加温できます。ただし、脳、眼球、血液のがんは適応外です。
当院では、電磁波を照射する機器を使用して温熱療法を行っています。がん細胞の死滅が期待できる43℃で照射するため、正常細胞へのダメージを抑えつつ短時間で効果を得やすいのが特徴です。

当院で使用する温熱マシーン
┃3.がん温熱療法のメリット・デメリット
温熱療法には、以下のようなメリット・デメリットがあります。
<メリット>
- さまざまな種類のがんに効果が期待できる
- 放射線や抗がん剤が効きにくい場合にも効果が期待できる
- 体への負担を抑えられる
- がんによる疼痛の改善も期待できる
- 血行が改善するため、疲労回復、神経痛・筋肉痛の緩和、胃腸機能の改善なども見込める
<デメリット>
- まれに、やけどや皮膚の損傷が起こる場合がある
- 急性の炎症がある場合、ごくまれに症状が悪化する場合がある
- 効果の持続期間が限られているため、定期的に施術する必要がある
- 加温中に、ピリピリとした痛みが出る場合がある
<施術に注意が必要な方>
安全のため、以下に当てはまる場合は事前にお申し出ください。
- 妊娠中である
- ペースメーカーなどを埋め込んでいる
- 患部の周辺に、金属製の医療器具などを留置している
- 金属粉を含む刺青やタトゥーをしている
- 胸などにシリコンを埋め込んでいる
┃4.当院で行うがん治療の種類
当院では、患者さんの体の状態やご希望に合わせて、以下のがん治療をご提供しています。
※いずれも自由診療です
<温熱療法>
がん細胞が熱に弱い性質を利用し、患部を加熱して腫瘍の縮小をめざす治療法です。薬物療法や放射線療法と併用して、治療効果を高める効果も期待できます。費用は照射1回につき33,000円(税込)です。
<腹腔内化学療法>
抗がん剤を全身ではなく腹腔内に投与する治療法です。腹膜への転移がある場合に、特に効果が期待できます。初回の投与は約33万〜55万円(税込)で、経過観察のための検査費用が別途かかります。
<6種複合免疫療法>
患者さんの血液から免疫細胞を取り出し、培養してがんに対する攻撃力を高めた上で点滴で体内に戻す治療法です。1回の点滴時間は20分〜30分(税込)で、外出許可があればほかの病院に入院中でも受けていただけます。
┃5.まとめ
温熱療法では、がん細胞が熱に弱い性質を利用し、加温して死滅を目指します。薬物療法や放射線療法と組み合わせることも可能です。
さまざまながんに適応できますので、がん治療にお悩みならぜひご相談ください。
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