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2025.11.25

脊柱管狭窄症の手術の種類は?選び方や体の負担が少ない低侵襲手術も紹介

脊柱管狭窄症 手術 種類

脊柱管狭窄症は、靭帯や骨が変性して神経の通り道である脊柱管を狭め、神経を圧迫する病気です。

多くの場合、いきなり手術を行うことはなく、まずは痛み止めの内服やブロック注射、理学療法などの保存療法を行います。しかし、こうした治療を続けても症状が改善しない場合や、排尿障害などの神経症状が出ている場合には、手術を検討します。

脊柱管狭窄症の手術にはいくつか種類があり、術式によって体への負担や回復までの期間が異なります。術後の痛みや入院期間を抑えられる手術もあるので、事前にどのような手術があるのか知り、適した方法を選ぶのが重要です。

そこで今回は、脊柱管狭窄症の手術の種類とその選び方、痛みや負担が抑えられる低侵襲手術について解説します。

<コラム監修者>

田中聡院長

田中聡(たなか さとし)

表参道総合医療クリニック院長


大阪医科大学医学部卒業。救急車搬送が日本で一番多い「湘南鎌倉総合病院」や「NTT東日本関東病院」にて脳神経外科医として脊椎・脊髄疾患、脳疾患、がん患者の治療に従事。その後、稲波脊椎関節病院で脊椎内視鏡、森山記念病院で脳・下垂体の内視鏡の経験。様々な患者様を診療するようになりました。しかし、脳出血や脳梗塞の方は、手術をしても脳機能自体は回復しないため、麻痺は改善しません。また腰痛が改善しなかったり、手術後も痛みやしびれが残る後遺症に悩まされている患者様を見てきて、「現代の医療では解決できない問題を治療したい」と表参道総合医療クリニックを開院しました。開院後、多数の腰痛日帰り手術や、再生医療などを行い、多方面から高い評価をいただいています。

┃1.脊柱管狭窄症の手術は大きく分けて2種類

脊柱管狭窄症の手術には、大きく分けて「除圧術」と「固定術」の2種類があります。どちらの方法が適しているかは、脊椎の安定性や症状の重さによって異なります。

<除圧術>

除圧術は、神経を圧迫している骨や靭帯などの組織を取り除き、神経の通り道を広げて症状の改善を目指す手術です。背骨が安定しておりぐらつきがない(不安定性がない)場合に適応となります。

従来は背中を3〜5cmほど切開して行う方法が一般的でしたが、近年では小さく切開して細い内視鏡を挿入する方法も普及してきました。

除圧術で症状を改善するには、圧迫を的確に取り除くことが重要です。削る範囲が不足していると神経圧迫が十分に解消されず、逆に椎間関節を削りすぎると背骨が不安定になるリスクがあります。

<除圧固定術>

除圧固定術は、除圧を行ったあとに背骨を金属のボルトやプレートで固定する手術です。重度のすべり症を合併している場合など、背骨の不安定性が強いケースで行います。

固定術を行うことで背骨が安定し、術後の痛みを軽減する効果が期待できます。ただし、固定した部分の可動域が制限される、周囲の椎間板への負担が増すなどのデメリットもあります。症状や生活スタイルを踏まえて、慎重に適応を判断することが重要です。

┃2.体の負担が抑えられる低侵襲手術とは

「低侵襲手術」とは、体へのダメージ(侵襲)をできるだけ抑えた手術です。皮膚や筋肉を切開する範囲が小さいため、出血や術後の痛みが軽減でき、仕事や日常生活への復帰を早めることができます。また、感染などの合併症のリスクを抑えられるメリットもあります。

脊柱管狭窄症の場合、内視鏡で行う低侵襲の除圧術を選択できる場合があります。内視鏡除圧術にはさまざまな種類がありますが、ここでは代表的なものを紹介します。

<MEL(内視鏡下椎弓切除術)>

MELは、日本で幅広く行われている脊柱管狭窄症の低侵襲手術です。2cm弱の切開で内視鏡を挿入し、モニターで確認しながら神経の圧迫を取り除きます。保険適用で受けられるため、費用を抑えやすいのも特徴です。

ただし、全身麻酔が必要なので、心臓や呼吸器などの持病がある方は適応できない場合があります。通常、翌日から歩行が可能で、入院期間の目安は4日〜1週間程度です。

<PEL(経皮的内視鏡下椎弓切除術)>

FESS(Full endoscopic Spine Surgery)とも呼ばれる、MELよりもさらに低侵襲な手術です。切開幅は約8mmで、局所麻酔で行えます。全身麻酔を使わないため、年齢や基礎疾患のためにMELが受けられない方でも適応できる可能性があります。

PELは手術当日から歩行が可能で、日帰りでの手術も可能です。入院を避けたい方や、できるだけ早く仕事や生活に復帰したい方にとっても、メリットが大きい選択肢といえます。

ただし、日帰りのPELは保険適用がされず、全額自己負担(自由診療)となります。

┃3.当院の脊柱管狭窄症手術

当院では、日帰り低侵襲手術と再生医療を組み合わせた脊柱管狭窄症治療を行っています。

長期間の圧迫により神経が損傷している場合、手術で除圧しても症状が残る場合があります。再生医療を組み合わせることで傷ついた神経の修復が早まり、術後の回復が促される効果が期待できます。

<PEL>

PEL(脊柱管狭窄症内視鏡下手術)

当院では、局所麻酔による日帰りのPELを行っています。早期に社会復帰したい方や術後の痛みが心配な方、持病や年齢により全身麻酔下の手術が受けられない方にとって、特に利点の大きい手術です。

>>PELの詳細はこちら

<SAST>

SAST(脊椎幹細胞移植)

患者さん自身の脂肪から幹細胞を取り出して培養し、椎間板、頚椎、腰椎などに移植する再生医療です。幹細胞には傷ついた組織を再生する働きがあり、損傷した椎間板や脊椎の修復を促して腰痛の改善を図ります。

>>SAST法の詳細はこちら

<PRP療法>

PRP療法(多血小板血漿療法)は、患者さん自身の血液から血小板を抽出・濃縮し、患部に注射する再生医療です。血小板にはさまざまな成長因子が含まれており、組織の修復を促す効果が期待できます。

>>PRP療法について詳しくはこちら

┃4.まとめ

脊柱管狭窄症の手術には、神経の圧迫を取り除く除圧術と、除圧した上で背骨を安定させる除圧固定術があります。症状の程度や背骨の状態に応じて適切な方法を選ぶ事が重要です。

術後の痛みや体への負担を抑えたいなら、日帰り低侵襲手術も選択肢の一つです。当院では、患者さんの希望を伺った上で適切な治療法をご提案しますので、まずはご相談ください。

┃YouTubeでも医療知識を紹介しています

今回の内容はYouTubeでも田中院長がお話ししています。そのほかにも様々ありますので、ぜひご覧ください。

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