院長ブログ

2025.11.05

PLDDとセルゲル法(ディスコゲル治療)の違いは?日帰り治療の選択肢も解説

PLDD セルゲル法

椎間板ヘルニアによる痛みやしびれを改善したくても、手術に踏み切れない方も多いのではないでしょうか。そのような場合の選択肢として、PLDD(経皮的レーザー椎間板減圧術)やセルゲル法(ディスコゲル治療)などがあります。

この2つはどちらも日帰りでできる椎間板ヘルニア治療ですが、症状を改善するメカニズムやリスクなどに違いがあります。そこで今回は、PLDDとセルゲル法の違いや適応、ほかの治療選択肢についても解説します。

<コラム監修者>

田中聡院長

田中聡(たなか さとし)

表参道総合医療クリニック院長


大阪医科大学医学部卒業。救急車搬送が日本で一番多い「湘南鎌倉総合病院」や「NTT東日本関東病院」にて脳神経外科医として脊椎・脊髄疾患、脳疾患、がん患者の治療に従事。その後、稲波脊椎関節病院で脊椎内視鏡、森山記念病院で脳・下垂体の内視鏡の経験。様々な患者様を診療するようになりました。しかし、脳出血や脳梗塞の方は、手術をしても脳機能自体は回復しないため、麻痺は改善しません。また腰痛が改善しなかったり、手術後も痛みやしびれが残る後遺症に悩まされている患者様を見てきて、「現代の医療では解決できない問題を治療したい」と表参道総合医療クリニックを開院しました。開院後、多数の腰痛日帰り手術や、再生医療などを行い、多方面から高い評価をいただいています。

┃1.PLDDとセルゲル法の違い

PLDDとセルゲル法は、どちらも大きく切開せずに椎間板ヘルニアの症状改善を目指せる方法ですが、ヘルニアが縮小する仕組みやリスクなどの違いがあります。

PLDD セルゲル法
治療内容 レーザーを照射して椎間板の水分を蒸発させ、ヘルニアを縮小させる 薬剤を注入して椎間板を溶解し、ヘルニアを縮小させる
入院 日帰り 日帰り
傷跡 1mm程度 1mm程度
再発時の治療 繰り返し施術できる 再発時の治療法に制限がある
リスク・副作用 治療後、一時的に術前にはなかった痛みやしびれ、張りが出る場合がある。まれに感染が起こるリスクがある。 治療後、一時的に症状が悪化する場合がある。まれに、神経損傷や薬剤によるアレルギー反応、感染が起こるリスクがある。

<PLDD(経皮的レーザー椎間板減圧術)とは>

PLDD法説明イラスト

PLDD(経皮的レーザー椎間板減圧術)は、レーザーを照射して椎間板ヘルニアの症状改善を目指す治療法です。

背中から細い針を刺し、そこにレーザーファイバーを通して椎間板へレーザーを照射します。すると、椎間板内部にある「髄核」の水分が蒸発し、内部の圧力が低下。ヘルニアが縮小し、神経の圧迫が軽減されます。

日帰りで受けられ、傷跡も1mmほどの針穴だけなので、体への負担が抑えられます。ただし、術後は一時的に痛みやしびれ、張りが出るケースがあり、まれに感染を起こすリスクもあります。

<セルゲル法(ディスコゲル治療)とは>

注入のイラスト

セルゲル法は、「ディスコゲル」という薬剤を椎間板内に注入して髄核を溶かし、内部の圧力を下げてヘルニアを縮小させ、神経の圧迫解除を目指す治療法です。

ディスコゲルの成分は、主に髄核を溶解する主成分のエチルアルコール、成分が椎間板外に漏れないようにするためのセルロース、レントゲン検査で薬剤が映るようにするタングステンという金属です。ディスコゲルには水分を吸収して固まる性質があり、注入後は椎間板内に残るため椎間板のボリュームを維持できます。

セルゲル法もPLDDと同様に日帰りで受けられ、傷跡も1mm程度と低侵襲な治療法です。ただし、治療後は一時的に症状が悪化する場合があるほか、薬剤の成分により、まれに神経損傷やアレルギーを引き起こすリスクもあります。

┃2.PLDDやセルゲル法が適しているケース

PLDDとセルゲル法の適応は、いずれも軽度から中等度の椎間板ヘルニアです。

椎間板の変性が強い場合や強い神経圧迫がある場合、十分な効果が得られないこともあります。脊柱管狭窄症やすべり症といった脊椎疾患を合併している場合も、基本的には適応外です。また、セルゲル法は椎間板の容積が3分の2以上残っていなければ適応になりません。

治療前にはMRI検査を行い、痛みの原因が神経の圧迫なのか、神経の損傷なのかなど、適切な診断が必要です。神経の損傷が疑われる場合や、脊柱管狭窄症・すべり症を合併している場合、内視鏡手術や再生医療などの治療法が適していることもあります。

┃3.椎間板の修復を目指すなら再生医療も有効

セルゲル法は、あくまで椎間板を溶解してヘルニアの縮小を目指す治療法であり、薬剤に椎間板を修復・再生させる成分は含まれていません。椎間板の修復を目指すなら、再生医療が適しています。

椎間板には血流がほどんどないため、変性した椎間板が自然に元の状態に戻ることは基本的にありません。しかし、再生医療を用いれば成長因子や幹細胞の働きにより傷ついた組織が修復され、椎間板の再生を促すことができるのです。

┃4.当院の椎間板ヘルニア治療

当院では、PLDDや内視鏡手術と再生医療を組み合わせた椎間板ヘルニア治療を行っています。症状や検査結果、患者さんのご希望に応じて治療法を提案しますので、ぜひお問い合わせください。

※いずれも自由診療となります。

<PLDD法(経皮的レーザー椎間板減圧術)>

PLDD

背中に針を刺して椎間板の髄核にレーザーを照射し、ヘルニアを縮小させる治療です。傷跡は1mm程度と小さく、出血も少なくすみます。主に軽度〜中等度の椎間板ヘルニアが対象となる治療法です。

※重度の椎間板ヘルニアなど、ほかの術式のほうが適しているケースもあります。
※効果には個人差があります。多くの場合は1〜3ヶ月で効果が現れますが、これより早く効果が出るケースもあれば、長くかかるケースもあります。
※副作用・リスク:今まではなかった腰痛、しびれ、筋肉の張り、感染など
※費用(税込):初回1ヶ所 1,045,000円、2ヶ所目以降(椎間加算) 275,000円

>>PLDDの詳細はこちら

<PED(経皮的内視鏡下椎間板摘出術)>

PED

直径7mmの細い内視鏡でヘルニアを摘出する手術です。7〜8mm程度の小さな傷ですみ、日帰りできるため早期の社会復帰が可能。術後の痛みや合併症のリスクも抑えられます。重度の椎間板ヘルニアにも対応できる方法です。

※副作用・リスク:術後血腫、感染、神経損傷など
※費用(税込):1ヶ所 1,540,000円(税込)

>>PEDの詳細はこちら

<ディスクフロー治療>

ディスクフロー治療

傷を塞ぐ接着剤のような役割を持つ「フィブリン」という物質を患者さんの血液から生成し、椎間板の亀裂を封鎖する治療です。ご自身の血液からつくる自己フィブリンなので、アレルギーや拒絶反応、感染などのリスクを抑えられます。

※副作用・リスク:内出血、腫れ、発赤、疼痛、かゆみ、変色、圧痛など
※費用

1ヶ所:1,320,000円
2ヶ所:1,430,000円
3ヶ所:1,540,000円
4ヶ所:1,650,000円

>>ディスクフロー治療の詳細はこちら

<PDR(経皮的椎間板再生治療)>

PDR法(経皮的椎間板修復治療)

患者さんの血液由来の成長因子と幹細胞培養上清液を穿刺針で椎間板に注入し、修復を促す治療です。

※副作用・リスク:内出血、腫れ、発赤、疼痛、かゆみ、変色、圧痛など
※費用

1箇所:1,100,000円
2箇所:1,210,000円
3箇所:1,320,000円
4箇所:1,430,000円

>>PDRの詳細はこちら

<SAST(脊椎幹細胞移植術)>

SAST(脊椎幹細胞移植)

患者さまの脂肪から取り出した幹細胞を培養し、患部に移植する方法。幹細胞には、傷ついた組織を修復する働きがあります。

※副作用・リスク:内出血、腫れ、発赤、疼痛、かゆみ、変色、圧痛など
※費用

自己脂肪由来間葉系幹細胞投与(1回5千万個):1椎間1,980,000円、2椎間2,310,000円、3椎間2,640,000円
自己脂肪由来間葉系幹細胞投与(1回1億個):1椎間2,530,000円、2椎間2,860,000円、3椎間3,190,000円

>>SASTの詳細はこちら

┃5.まとめ

PLDDとセルゲル法は、どちらも日帰りで行える椎間板ヘルニア治療です。PLDDではレーザーで髄核を蒸発させることで、セルゲル法では薬剤で髄核を溶解してヘルニアの縮小を目指します。

当院では、PLDDや内視鏡手術と再生医療を組み合わせて椎間板ヘルニアの症状改善を目指します。椎間板ヘルニアの症状でお悩みなら、ぜひご相談ください。

┃YouTubeでも医療知識を紹介しています

今回の内容はYouTubeでも田中院長がお話ししています。そのほかにも様々ありますので、ぜひご覧ください。

To Top
ご予約・お問合せ 24時間受付WEB予約 日帰り手術・がん治療のご相談