院長ブログ

2025.10.27

PRP療法の種類|成長因子2倍で痛みの少ない「PDF-FD」について

PRP療法は、採血を行った後、採取した血液から血小板を抽出・濃縮したものを患部に注射して、損傷している組織の修復を促す治療方法です。このとき使うPRPにも様々な種類があります。今回は、その中でも成長因子が通常のPRPの2倍とされるPFC-FDについてご紹介します。

<コラム監修者>

田中聡院長

田中聡(たなか さとし)

表参道総合医療クリニック院長


大阪医科大学医学部卒業。救急車搬送が日本で一番多い「湘南鎌倉総合病院」や「NTT東日本関東病院」にて脳神経外科医として脊椎・脊髄疾患、脳疾患、がん患者の治療に従事。その後、稲波脊椎関節病院で脊椎内視鏡、森山記念病院で脳・下垂体の内視鏡の経験。様々な患者様を診療するようになりました。しかし、脳出血や脳梗塞の方は、手術をしても脳機能自体は回復しないため、麻痺は改善しません。また腰痛が改善しなかったり、手術後も痛みやしびれが残る後遺症に悩まされている患者様を見てきて、「現代の医療では解決できない問題を治療したい」と表参道総合医療クリニックを開院しました。開院後、多数の腰痛日帰り手術や、再生医療などを行い、多方面から高い評価をいただいています。

┃1.PRP療法ってなに?

血小板にはさまざまな効果をもたらす細胞で、周りの細胞に働きかけて組織の修復を促す働きを持っています。この作用を利用したのが、患者さん自身の血液を使って行う「PRP療法」です。PRP(多血小板血漿)は、採血を行った後、採取した血液から血小板を抽出・濃縮したもの。これを患部に注射して、損傷している組織の修復を促します。

また炎症を抑える作用も期待できるため、痛みを軽減する効果も見込めます。現在、これまで修復不可能だとされていた、神経損傷、軟骨、椎間板などの部位にも作用するとして、様々な場面で使用されています。

なお、PRPにも白血球の量や、凍結乾燥の加工を施したものなどの分類で、いくつか種類があります。

<PRPの種類>

  • LR-PRP(Leukocyte-Rich PRP):白血球を多く含む種類。血小板由来の成長因子による組織修復の促進とともに、白血球の作用による強い炎症抑制・疼痛抑制効果が期待されます。
  • LP-PRP(Leukocyte-Poor PRP):白血球をほとんど取り除いたもので、早期の損傷を治療するのに効果的です。
  • PFC-FD(Platelet Factor Concentrate Freeze Dry):血小板を濃縮させたPRPから、さらに成長因子を取り出して凍結乾燥したもの。長期保存が可能。

これらのほかにも、PRPをさらに特殊な過程で処理したAPS療法や、ヒアルロン酸などを混合した医療機関独自の医療名称を持つ製剤などがあります。

┃2.成長因子を取り出した「PDF-FD」とは

今回は中でもPDF-FDについてご紹介します。PDF-FDは、患者さんから血液を採取したあと、その血液を攪拌し、成長分子を多く含むPRPを抽出。これから、細胞成分を除き、成長分子をより高濃度に濃縮し、フリーズドライにしたものです。

<痛みが少ない>

生きた細胞を注入すると、身体は異物が侵入してきたと認識してしまい炎症反応が起きてしまうことがあります。PFC-FDは、冷凍乾燥させているため細胞成分が取り除かれた状態。そのため炎症反応が起きる可能性が少なく、投与後の痛みを抑えることができます。

<高い治療効果>

成長因子が一般的なPRPより多いため、より高い修復作用を期待することができます。

<治療計画の柔軟性>

フリーズドライになっているので、長期間の保存が可能。PFC-FDの保存期間中であれば患者さんの都合がいいときに投与することができます。

┃3.PRP療法(PDF-FD)のメリットと注意点

PRP療法にはさまざまなメリットがありますが、注意点もあります。リスクも押さえた上で、適した治療法を検討しましょう。

<PRP療法のメリット>

  • 自分の血液からPRPを抽出するため、アレルギーや拒絶反応のリスクが低い
  • 手術や入院が不要なので、外来で行うことができる
  • さまざまな疾患に対して効果が期待できる
  • 治療に年齢などの制限がない

<注意点・リスク・限界>

  • 患者自身の再生力を利用した治療法なので、効果の程度や期間には個人差がある
  • 自由診療のため保険が適応されない
  • 新しい治療法のため、長期での体への影響が確認されていない

┃4.当院のPRP療法(PDF-FD)の流れと費用

当院では、患者さんお一人おひとりの状態や生活スタイルに合わせ、適切な治療法をご提案します。ここでは、当院のPRP療法の流れと費用を紹介します。

<当院のPDF-FDを使った治療の流れ>

当院では、以下のような流れでPRP療法を行います。

【診察・カウンセリング】

診察や検査で膝の状態を確認し、PDF-FDを使った治療が適しているか判断します。

【感染症検査・フリーズドライ加工・無菌検査】

細胞加工センターに届けられた血液を約3週間かけて、感染症検査/フリーズドライ加工/無菌検査を行います。PRPをフリーズドライ加工することにより長期保存(約半年間)が可能となります。また、成長因子成分の含有量やその働きに対してこのフリーズドライ加工による影響はなく、生理食塩水で溶くことで元の状態へと戻すことができます。これでPFC-FDの完成です。

【PDF-FDの到着】

約3週間後に完成したPDF-FDがクリニックに届けられます。

【PDF-FDの投与】

PDF-FDの有効期限が約半年間となります。期限内に来院していただき、当院で注射の流れとなります。

<費用>

PRP療法は保険適用外(自由診療)です。当院では、以下の費用で腰痛に対するPRP療法を行っています。

【参考】シングル膝(2V):330,000円

┃5.まとめ

PRP療法は、自分自身の血液から抽出した成分を利用して組織の修復を助ける再生医療の一つです。腰痛や膝など関節痛など、さまざまな疾患に効果が期待できるため、実際にいろいろな治療で活用されています。そんなPRP療法を選択していただく場合でも、治療の計画の中でどのようなものを使用するのか、症状や患者さんの希望によって適切に選択しなければいけません。興味のある方は、まずはお気軽にご相談ください。

>>PDF-FD療法

┃YouTubeでも医療知識を紹介しています

今回の内容はYouTubeでも田中院長がお話ししています。そのほかにも様々ありますので、ぜひご覧ください。



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