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2025.05.15

手足の痛みや痺れは病気の初期症状「間欠跛行(かんけつはこう)」かも、後遺症治療も紹介

「歩いたり、手作業をしていると痛みやしびれが発生するけど休めば治る」という経験をしたことはあるでしょうか? ある程度、休めば治るからと思って放っておく人も少なくありませんが、もしかしたら病気の初期症状かもしれません。ここでは腰部脊柱管狭窄症や閉塞性動脈硬化症の代表的な初期症状として知られる「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」についてご紹介。後遺症の可能性や、後遺症に対する治療方法もご紹介します。

<コラム監修者>

田中聡院長

田中聡(たなか さとし)

表参道総合医療クリニック院長


大阪医科大学医学部卒業。救急車搬送が日本で一番多い「湘南鎌倉総合病院」や「NTT東日本関東病院」にて脳神経外科医として脊椎・脊髄疾患、脳疾患、がん患者の治療に従事。その後、稲波脊椎関節病院で脊椎内視鏡、森山記念病院で脳・下垂体の内視鏡の経験。様々な患者様を診療するようになりました。しかし、脳出血や脳梗塞の方は、手術をしても脳機能自体は回復しないため、麻痺は改善しません。また腰痛が改善しなかったり、手術後も痛みやしびれが残る後遺症に悩まされている患者様を見てきて、「現代の医療では解決できない問題を治療したい」と表参道総合医療クリニックを開院しました。日本脳神経外科学会認定 日本脳神経外科専門医として、現在は多数の腰痛日帰り手術や、再生医療などを行い、多方面から高い評価をいただいています。

┃1.間欠性跛行とは

間欠性跛行とは、一定の距離を歩くとふくらはぎなどの下肢や臀部に痛みやしびれが出て、歩行が困難になる症状です。痛みやしびれが出た場合でも、少し休めば再び歩けるまで回復し、また歩き始めると症状が再発してしまうという特徴があります。

原因となる疾患は主に、腰部脊柱管狭窄症の神経性のものと、閉塞性動脈硬化症の血管性の2つ挙げられます。腰部脊柱管狭窄症の場合は整形外科、閉塞性動脈硬化症の場合は心臓血管外科や循環器内科での診察が必要となります。

<腰部脊柱管狭窄症とは>

脊柱管とは背骨を構成する骨である「椎骨」とそれを繋ぐ椎間板や靭帯に囲まれてできたトンネル状の管のことです。その中には脳から続く脊髄神経が通っています。脊柱管狭窄症は名前の通り、脊柱管が狭まってしまった状態のこと。椎間板がヘルニアになったり椎骨が変形したりして脊髄神経が圧迫されると、痺れや痛みなどの運動障害が起こることもあります。

腰部でこの症状が起きると、腰から下に痺れや痛みが起こります。初期症状は神経の圧迫が軽いので、何かしらの異変があっても日常生活にそれほど影響がない場合がほとんどです。ただし、長期間放置しておくと、筋力の衰えや骨密度低下などにつながる可能性も。心当たりがある人は受診をおすすめします。

>>腰部脊柱管狭窄症について詳しく知る

<閉塞性動脈硬化症とは>

閉塞性動脈硬化症は、動脈硬化が原因で、手足の動脈が細くなる「狭窄(きょうさく)」や、血管が詰まってしまう「閉塞」が起きてしまう症状です。狭窄や閉塞が起こると、栄養や酸素を十分に送り届けることができなくなるので、手足の指先が冷たくなったり、筋肉に痛みが出ます。

┃2.何科を受診するか考える

腰部脊柱管狭窄症と、閉塞性動脈硬化症の共通の初期症状として「関節跛行」が挙げられます。しかし、この二つにもわずかながら違いがあります。ここでは、2つの病気の初期症状の違う部分に焦点を当てて解説します。関節跛行に悩まされている方は、何科を受診するのか考えるときに参考にしてみてください。

<腰部脊柱管狭窄症>

項目 詳細
症状 お尻部分から足全体にかけて症状が出る
姿勢による変化 腰を屈めると症状が改善する
必要な検査 レントゲン、MRI、CTなど
特徴 お尻から足にかけてしびれがある

<閉塞性動脈硬化症>

項目 詳細
症状 手足、お尻、腰回りに症状が出る
姿勢による変化
必要な検査 BI検査、下肢動脈超音波検査、CT検査またはMRI検査、血管造影検査
特徴 足の冷感、足のしびれ、足の色の変化、潰瘍や壊死

┃3.日帰りでできる手術「PEL」について

当院では脊柱管狭窄症の根本原因に広く対応できるような治療方法を用意しています。ここでは間欠跛行に効果的な脊柱管狭窄症の日帰り手術「PEL(脊柱管狭窄症内視鏡下手術)」をご紹介します。

<PELとは>

PELは全ての手術操作を内視鏡下で行う手法。体を大きく傷つけずに、脊椎内部の奥深いところが観察できるので、より安全に手術ができるというのが大きな特徴です。今までは脊柱管狭窄症の手術は全身麻酔で行う手術方法しかなく、高齢や他の重篤な症状がある患者は受けることができませんでしたが、PELが編み出されたことによって、脊柱管狭窄症の手術は多くの人が受けることができる治療になりました。

>>PELの詳細はこちら

┃4.再生医療「幹細胞治療」を使った後遺症の治療

間欠性跛行の根本原因となる腰部脊柱管狭窄症や閉塞性動脈硬化症を治療したとしても、神経細胞や筋組織そのものが壊死してしまっているため、後遺症が残る可能性があります。

<間欠跛行の後遺症>

  • 下肢の筋力低下や感覚障害
  • 排尿・排便障害
  • 性機能障害 など

壊死してしまった神経細胞は自然に修復することができません。しかし近年、再生医療の研究が進展し、神経細胞も再生できる可能性が高まってきています。神経細胞の再生には「幹細胞」を使います。

<幹細胞治療とは>

幹細胞は身体の修復や再生が必要なときに自ら細胞分裂を行い、傷ついたり不足した細胞の代わりとなる未分化の細胞です。体の修復能力を持つので、これまで難しかったとされる症状も治すことができると注目を集めています。

幹細胞は分裂して同じ細胞を作る能力を持った「組織幹細胞」と「多能性幹細胞」の2種類に分けられます。組織幹細胞の中でも間葉系幹細胞は骨髄や脂肪、歯髄、へその緒、胎盤などの組織に存在する体性幹細胞の一種で、さまざまな細胞へ分化することができます。再生が困難とされていた神経や血管、免疫系にも作用すると言われており、損傷した脳神経の回復促進にも作用することがわかってきました。

当院の幹細胞治療では、患者自身の体から採取した脂肪細胞をもとに幹細胞を培養。それを静脈投与、脊髄腔内投与で患部に注入し、神経細胞の修復を試みます。

>>幹細胞治療について

┃5.表参道総合医療クリニックの幹細胞治療の流れ

当院では、患者様自身の脂肪組織から幹細胞を取り出し、培養したうえで投与する治療を行っています。幹細胞治療を行う際には、主に下記のような流れで治療を進めていきます。

<①カウンセリング>

事前に服薬情報やMRI画像などをご用意していただいた上で、医師がカウンセリングを行います。体調や既往歴、服薬中の薬、リハビリ状況などを伺います。

<②検査>

感染症の有無を調べるための血液検査や、胸部のレントゲン検査、心電図検査などを行います。

<③脂肪採取・血液採取>

腹部からごく少量の脂肪を採取します。入院などは不要な場合がほとんどです。

<④幹細胞の培養・PRPの抽出>

幹細胞を使った治療の場合、脂肪細胞から幹細胞を分離、培養します。培養には約3週間を要します。PRP療法の場合、採血を行い、その後遠心分離機にかけて、PRP(多血小板結晶)を抽出します。

<⑤幹細胞・PRPの神経根局所投与、髄腔内投与>

培養した幹細胞や、抽出したPRPを脊髄の枝である神経根に局所投与もしくは髄腔内に投与します。

<⑥経過観察>

治療後の効果について定期的に経過観察を行います。治療効果を確認しながら、リハビリを併用します。

┃7.治療費について

再生医療は保険適用外の自由診療となります。費用の一例は以下の通りです(すべて税込)。

項目 価格
医師による診察・カウンセリング 11,000円
感染症検査(採血) 11,000円
PRP神経修復治療 1か所55万円
幹細胞培養上清神経修復治療 1か所44万円
幹細胞培養上清髄腔内投与 1回 55万円
脂肪由来幹細胞点滴投与 1回165万円
脂肪由来幹細胞髄腔内投与 1回198万円

┃8.再生医療のメリットとデメリット

幹細胞治療はさまざまなメリットがある一方、新しい治療であるためリスクも存在します。

<メリット>

  • 患者自身の細胞を使っているので安全性が高く、副作用が少ないです
  • 今までは対応が難しかった症例も根本的に治療ができる可能性があります
  • 入院の必要がなく、外来で治療をすることができます

<デメリット>

  • 自由診療のため保険が適応されません
  • 新しい治療法のため、長期での体への影響が確認されていません
  • 患者自身の再生力を利用した治療法なので、効果が現れるまでに個人差があります

┃9.まとめ

神経細胞のように傷つくと自然に再生しない機能も、再生医療の発展によって回復できるようになってきました。数十年前には「難しい」と断られてしまった症状でも、今では治すことができるかもしれません。間欠性跛行の後遺症に悩まれている方は、当院にお気軽にご相談ください。

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